大井川通信

大井川あたりの事ども

地方・まちづくり

たかが棒、されど棒

地元のある集会に参加した。被差別当事者の運動体の研修会である。めったにない機会だったので、面白く楽しめた。 こうした運動団体、政治団体、宗教団体の例にもれず、参加者は高齢化している。主力は70代、60代で、ごく少数の「若手」といっても40代以上だ…

テンちゃんと山伏どん

休みの日。妻は彫金教室に、次男は温泉施設に出かけたので、昼前にぶらりと家を出る。車だから、今日は大井川歩きモードではない。 駅近くのランチカフェで、マスターの高崎さんと、ランチを食べながら話し込む。ゆるキャラを考案し、絵本をはじめとする商品…

あるデザイナーのあしあと

2年前に近所のマンモス団地で行われた連続講座に通った。題して、団地再生塾。建設して半世紀近くなる団地には、高齢化や空き家の増加等の問題がある。それを住民主体で、様々な手法や実践事例を学びながら考えようという講座だった。 中心人物が大学の建築…

老人ホーム「ひさの」で村瀬孝生さんの話を聞く

田中好さんが自宅で始めた老人ホーム「ひさの」の5周年のあつまりがあった。メインイベントは、宅老所よりあいの村瀬孝生さんの講演だ。「ひさの」のお座敷は、80名ほどの人が集まり、冷房が必要になるほどの静かな熱気につつまれた。 田中さんは、千葉で訪…

東京の災害

東京を出て、今の地方都市での生活がすいぶん長くなった。東京といっても多摩地区だし、都心に通ったのは大学の4年間しかない。だから、たまに東京に帰省すると、今の地元での時間の流れやリズムとの違いが、どうしようもなくはっきりする。 9日は、台風15号…

上池台3丁目と東雪谷4丁目

東京都大田区の住宅街。商店街や工場や目立つ公共施設があるわけでもなく、特に特徴がない地域だ。地名に「台」と「谷」がつくくらいだから、地形には起伏があり、坂が多い。 東雪谷4丁目の方は、洗足池へと流れる狭い水路があり、細い緑地帯にもなっていて…

二つの聖地

実家の整理の話があって、急遽東京にいく。早い飛行機にのったが、初日は用事はない。近頃は内向きの生活をしているせいか、行きたい美術展も名所旧跡も観光スポットも思い浮かばない。それで、聖地巡礼をすることにした。 実は、初めからそう思って訪ねたわ…

「なんもかんも大変」のおじさんとしんみり話す

黄金市場を二カ月ぶりに訪ねる。日曜日のためか、ほとんどの店がシャッターを下ろしていて、平日の活気がない。後で聞くと、大通りをはさんだ古くからあるスーパーが年度末で閉店してしまったのも影響が大きいという。何割もお客さんが減ったらしい。何でも…

「阿蘇の灯」の語り部から聞く

三年前の熊本大地震による阿蘇の被災地でのフィールドワークに参加した。 当時は、熊本城の被害がクローズアップされたが、僕には、阿蘇訪問時によく使っていた阿蘇大橋の崩落が衝撃的だった。その近くに下宿する東海大の学生がアパートの倒壊で亡くなり、た…

弱さは強さ

勤務先に次男を迎えにいくついでに、駅近くのアーケード商店街を歩く。夕方近くというのに、人はほとんど歩いていない。開いている店が十軒に一軒もないような、文字通りのシャッター街だ。それが延々と続く。 別の商店街に入ると、こちらはさらに老朽化して…

炭鉱王の別荘

仕事で地元の旅館のご主人と話をする。高台の座敷からは、玄界灘の白波が見えている。僕が炭鉱に興味があると言ったら、話が思わぬほうにすすんでいった。 ここはもと炭鉱の経営者の別荘だったところで、それを昔ご主人のお父さんが買い取って改装して旅館に…

「『地方ならお金がなくても幸せでしょ』とか言うな!」 阿部真大 2018

副題は、『日本を蝕む「押しつけ地方論」』。タイトルの印象とは違って、きわめて明晰で冷静な記述に貫かれている。著者は上野千鶴子門下の気鋭の社会学者だ。 本書の意図や方法については、巻頭の頁からこれでもかというくらい何度もていねいに説明されてい…

尾畠春夫さんのこと

山口県の周防大島で行方不明の二歳児を単身発見したことから名をあげた「スーパーボランティア」尾畠さんのインタビューを読んだ。 尾畠さんの経歴や考え方に触れると、かろうじて理解や共感はできるけれども、及び難いというか、別の世界の人間であり出来事…

『下流老人』 藤田孝典 2015

三年前のベストセラー。今回初めて読んできたのだが、出版後、この本が訴える情報について、ある程度一般化されてきたためか、ややインパクトが薄れるところがあったかもしれない。しかし、老人予備軍としては、いちいち身につまされて、いろいろ勉強になる…

公民館青年室にて

ソレハネ チョットネ オモシロイネ/イトサンがせっかちに口をはさむ シゴト ツカレタナー/旭通りの映画館で働いているモッチャンが/甲高い声で/飛び込んでくる ソファーに長々と身体を投げ出したヨシムラサンが/退屈そうにあくびをする 僕はテーブルの…

たまり場の記憶

たまり場「かっちぇて」が一時お休みするそうだ。けんちきさんとかおるこさんには、今年の一月にお話しをうかがって、先月には二人の不在時に「かっちぇて」のある坂段を訪問している。3年間開いてきた自宅でのたまり場を、さりげなく休止する。何かを終わ…

「かっちぇて」のある場所

片山夫妻の主宰するたまり場「かっちぇて」を訪ねる。 長崎に仕事で行って、その空き時間を利用したのだ。前日にメールをすると、片山さんたちは運悪く不在で閉まっているとのこと。ただ、僕は、彼らの見つけた場所に興味があったので、地図とカンを頼りに坂…

『認知症をつくっているのは誰なのか』 村瀬孝生・東田勉 2016

二年前、「よりあいの森」を見学した時、買った本。ようやく読了した。村瀬さんの講演を聞いたばかりでもあり、本の内容は、頭にしみ込むようによく了解できた。 この本を読むと、介護の問題や認知症の問題、薬害の問題がよくわかるし、それが相当に良くない…

宅老所よりあい代表の村瀬孝生さんの話を聞く

2年ほど前、特別養護老人ホーム「よりあいの森」をグループで見学して、村瀬孝生さんから説明を受けたことがある。その時は、穏やかでたんたんとしていながら核心を突く語りに強い印象を受けた。著書にサインをいただいたりしたけれども、不勉強の僕は数冊…

『クルマを捨ててこそ地方は蘇る』 藤井聡 2017

クルマ社会の問題点を、網羅的に、かんで含めるようにわかりやすく説いた本。視野の広さと分析のバランスの良さは、驚くほどだ。とくに地方都市において、人々のクルマ依存が、郊外化をもたらし、結果的に地域の劣化と人口流出をもたらすメカニズムを、あら…

『稼ぐまちが地方を変える』 木下斉 2015

昨年から、地元のまちづくり関係のワークショップや話し合いの場に出るようにしている。そこで驚いたのが、若い不動産オーナーが、コミュニティやまちづくりの構想と実際の経営とを両立させていることだった。あるいは、古い空き家の再生や活用を、新たなマ…

「かっちぇて」という場所

片山健太さんと薫子さんのご夫婦が主催する「かっちぇて」(長崎弁で仲間に入れて、という意味)というたまり場について、ワークショップで二人から話を聞くことができた。 「かっちぇて」は、長崎の坂の街にある古民家で、ボロボロな状態で彼らが買い取って…

ニュータウンのアイデンティティ

郊外のリノベーションをめぐる連続講座で、今回は都市計画が専門の黒瀬武史さんの話を聞いた。デトロイトの住宅地の衰退と再生の試みの報告で、住宅地の衰退ぶりは驚くほどだが、一方再生のアイデアの大胆さにも驚かされた。 一つの都市をゼロから立ち上げて…

閉校する短大で

町にある短大が、来春で閉校するという。公開講座があったので、都合のつく日程で申し込んでみた。初めて入るキャンパスは駅近くの高台にあって、小規模だが周囲の自然も映えて感じがいい。 廃校となる学校の卒業生は、どんな思いを抱くのだろうか。古い感覚…

『小さい林業で稼ぐコツ』農文協編 2017

農家の仕事なら、ふだん目にするから、なんとなく想像できる。林業となると、見当もつかなかったが、近所の里山に出入りするようになると、植林された林や、伐倒の跡など、林業の痕跡を意外に身近に見ることができた。しかし、今、山が荒れているとよく耳に…

樋井川村から大井村へ

近所の大規模住宅団地で、今、ニュータウンのリノベーションの動きが起きている。先月から毎回ゲストを招いて「郊外暮らしの再成塾」が開催されていて、今月が株式会社樋井川村の村長を名乗る吉浦隆紀さんだった。所有と市場をベースに、おおきなうねりの発…