大井川通信

大井川あたりの事ども

日々のこと

転職問答

A:転職を考えているようだけど、君の知り合いで転職した人の情報は集めているの。成功例とか失敗例とかを聞けば参考になるかもよ。 B:自分のやりたいことがあって転職した人は、だいたいうまく行っているみたいだ。そうでない人の転職後の話はあまり入って…

銀婚式

今日は、入籍してから、25年目の日。区切りがいいから、さすがに意識していて、夜家族で外食にいく。といっても、ふだんより少し予算をかけたくらい。 帰ってから、四半世紀というのには何かあるかな、と思って調べると、なんと銀婚式というものだ。うかつ…

小泉八雲旧家と桂花本店

出張帰り、熊本市街を歩く。修繕中の熊本城を横目に見て、市電を降りる。近くには、五校(旧熊本大)教師時代の漱石と八雲の旧家がそれぞれ保存されているようだが、近い方の小泉八雲(1850-1904)の家の方に立ち寄る。 デパート裏にある街中の公園脇の古い…

哲学カフェに行ってみた

地元で長くやっている「哲学カフェ」があるというので、知人に誘われて参加してみた。おそらく、そういうものを、成立させたり、運営したりするのはとても難しいだろうと予想はしていたが、やはりなかなかストレスのたまる会だった。 一般的な哲学カフェは、…

ハチの次は、キュー

ハチが亡くなったときは、妻はもう猫は飼わない、といっていた。実は、妻はハチとはじめから上手くいっていたわけではない。手術の後遺症で手に傷をつけてはいけない妻は、かんだり、引っかいたりが好きなハチに手を焼いていた。潔癖症に近いところもあって…

あの虹をこえて

妻の携帯電話が鳴る。勤め帰りの次男からのようだ。妻が料理で手が離せないので、僕が取ると、次男の興奮した声が聞こえる。 すごい虹が出ているから、見てみい。 デッキに出ると、まだ明るい夕方の空を、細く強い光の束が、サーチライトのように駆け上がっ…

次男と仏像

東京から来た姉を妻があちこち案内したとき、国立博物館に寄った。そこで京都のお寺の寺宝を展示した特別展をやっていて、せっかくだからざっと見ておこうと入ったそうだ。すると、意外なことに、次男が一体一体の仏像をじっくりと観て動かない。キャプショ…

令和最初の日にパンクする

令和初日の夜にスーパーに買い物にでかける。牛乳に卵、パンやお総菜を買って戻る途中、家族にほか弁を買って帰ろうと思いついたのがいけなかった。いや本当にいけなかったのは、たまたま駐車場でこちら向きに停めた車がライトをつけたままのタイミングだっ…

水回りを整える

数年前、風呂場の水道の蛇口の水漏れの修理をした。簡単だった。それで味を占めて、昨年、洗面台の温水と冷水を使い分けられる蛇口の水漏れを直そうとしたが、これは構造が複雑だから、部品を替えるしかないことがわかった。 それでも、とにかく水回りのこと…

家族の記憶

父親は四人兄弟の末っ子だった。叔母二人が先に亡くなり、叔父の最期を病院で見届けたあとのこと。病院の玄関口を父親と二人で出て、別の用事があるからと別れた。そのとき父親がつぶやいた言葉が妙に頭に残っている。 もう昔の家族のことを話せる人もいなく…

喫茶店「ぽけっと」を探す

黄金市場に寄ったときに、近所にあった喫茶店のことを思い出した。 バーのようなカウンターがあって、夜まで営業していたから、会社の帰りに寄っていた記憶がある。NTTに勤めるタシロさんという人が常連で、いつもカウンターの正面に陣取っていた。「ぽけっ…

「幻想」を抜けて

自慢できることではないが、我が身を振り返って、つくづく旧時代の凡庸な人間だと思う。いろいろ理屈をふりまわしたところで、自分が実際にやってきたことがそれを物語っている。時代が求める常識を一歩もこえることがなかった。 まずは仕事。生活のため、生…

子猫とてんかん

数日前、夜中こたつで本を読んでいたら、子猫のハチのゲージがガタガタとすごい音で鳴り始めた。ハチが目をあけたまま、身体を痙攣させている。手足を見たことのない動作でバタバタさせている。のたうち回って、トイレの砂が、大量に床に飛び散る。 どうした…

新年の抱負

数年前、地域の自治会長を引き受けてしまったときのことだ。自治会長は毎月、役員さんたちと各組の組長さんたちを集めて、公民館で会議を開く。その前年、組長としてその会議に参加して、一言の発言の機会もなく、役員さんたちのだらだらと続く議論を聞くの…

にゃんにゃんの日

壁塗りの職人さんから、イヤホン越しに呼び出される。仕事の話かと思ったら、家の前の側溝の中から猫の鳴き声が聞こえるという。住宅街の側溝は、コンクリートで蓋をされており、ところどころ鉄柵がはめてある。鉄柵のはずし方がわかれば、助けたいとのこと…

古本市の大井川書店店主

津屋崎の旧玉乃井旅館でのトロ箱古本市に、昨年に引き続き出品する。津屋崎の漁港では、魚を入れるトロ箱が並んでいる。「一箱古本市」をもじった命名だ。 今回は勤務で会場には行けないので、文字通り小さなビニールケース一箱だけの参加となった。今回は、…

筑豊富士再訪

免許の更新で筑豊の運転免許試験場に出かける。筑豊の象徴ともいえる三連のボタ山(別名筑豊富士)のすぐ近くだ。講習の待ち時間が一時間ばかりあるので、気ままに歩くことにした。 遠目には見てきたが、実際にふもとを歩くのは、初訪以来10年ぶりくらいにな…

結婚式で祝辞をのべる

職場の人の結婚式で、スピーチをした。ネタ探しから、原稿書きと推敲、読みの練習とずいぶんと時間をつかった。会場と同じくらいの広い場所で実際にスピーチしてみる。空間に意識を向けるのは、演劇ワークショップで習った手法だ。今回は新しい試みとして、…

あべこべのひと

20代の頃、東京の塾で同僚だった知人と会った。 知人は僕よりいくらか年長で、今年塾を定年退職したそうだ。それで再就職までの時間を利用して、実家の隣町に住むお姉さんの看病で二カ月ばかりこちらに滞在しているという。僕が今住んでいる地方が、たまたま…

虹の足

通勤で川沿いの道を車で走っていると、にわかに雨が強くなる。すると正面に虹が見えたので、道路わきの神社の大きな駐車場に車をとめて、観察することにした。 はじめは右半分くらいしか見えていなかったのだが、いつのまにかうっすらときれいな半円を描いて…

メタ・コミュニティのような話

昔勤めていたのは、塾長が大学生の頃に仲間と始めたまだ若い塾だった。僕が入社した頃は、塾長は30歳を過ぎたくらいだったが、東京郊外に5教室ばかりあって、さらに教室を増やそうとしていた。教室ごとに専任講師が2名ほどと学生バイトの講師が多くいたと思…

傷を負うということ

数年前、地元の自治会の役員を引き受けたことがある。なり手がなくて、仕方なくしたことだが、自分が歩ける範囲に責任をもつ、という大井川歩きの原則には適ったことだと無理に納得していた。結果的には、旧集落の役員とも知り合いになれて、よい経験をした…

巨大魚の遡上

職場の昼休みに散歩していると、コンクリートで三面を固められた用水路の流れの底に、大きな魚の影を見つけた。鯉やナマズがいてもおかしくないので、まじまじと見つめると、ヒレが目立たないぬめっとした姿に、ナマズだろうと見当をつけた。しかしどこか違…

旧友の虚像と実像

20代の頃、東京の郊外の進学塾で、3年ばかり専任講師をしていたことがある。その時の同僚と、30年ぶりに会うことになった。待ち合わせの小さな駅のロータリーに車をとめても、それらしい人影はない。5分ほど待ってから電話をすると、さっきから階段の脇に立…

ファミレスあるある?

週末、妻に電話を入れる。「今週やっと終わったから、帰りジョイフルに寄ってきていい?」「いいよ」 ジョイフルでは、いつでもドリンクバー付きのモーニングが注文できる。ワンコインでモーニングを注文し、ドリンクバーを飲み継ぎながら、好きな本を読んだ…

ある経営者の信条

次男は、特別支援学校を卒業して、昨年春からある介護施設に勤務している。グループ会社を統括する社長は、地元では有名な起業家だ。入社式には妻が参観したのだが、隣に座った社長が気さくに声をかけてくれて、自社を好意的に取材しているビジネス書を直接…

神隠しをめぐって

山口県で2歳の幼児が行方不明になった、というニュースが連日報道されている。家族にとってはとんでもない事件だが、このネタが全国ニュースで報じられるのはどうかと思っていた。ただ、田舎で2日間も見つからないのは、たぶんもうダメだろうと。 それが今…

車椅子からの目線

数日前に、右足のくるぶしに違和感を覚えた。アキレス腱をかくんと伸ばしてしまったような。そのあと二日間は、さほど無理している感覚もなく散歩などしていたが、昨日から足を引きずるようになって、夜にはまったく歩けなくなった。 今朝からは痛くてかかと…

理髪店とあめ玉

僕が数年前から行っている理髪店は、理髪用の椅子が十台以上並んでいるけれど、先客がいることはめったにない。おそらく全盛時代は、何人も雇って羽振りがよかったのだろうが、今は年取った夫婦だけでやっている。70歳を超したかというご主人は、決まって「…

二人の法学者

もう何か月か前の話だが、同じ日の新聞に、ゆかりのある二人の法学者の記事が出ていた。 僕は法学部の出身だけれども、学生時代に購入した法律学の教科書や専門書で手元に残しているのは、一冊しかない。当時、学部の看板だった刑法学者のN教授の本だ。N先生…