大井川通信

大井川あたりの事ども

神々

如来田の道元

仕事の関係で、山間の禅寺を訪ねる。如来の田という美しい名前の土地で、700年以上の歴史をもつお寺だ。古びた石仏が並ぶ境内の隅には、コンクリート製の代替梵鐘が置かれている。戦時中、武器生産のため釣鐘が供出されたあと、木造の鐘楼がぐらつかないよう…

「運慶」展で高僧に出会う

話題になってるから、というくらいの理由で、上野の運慶展に立ち寄る。東京国立博物館は、平日なのにかなりの人の出だった。素人目にも、運慶の手がけた彫像は、力強さといい繊細さといい、抜きん出た印象を受ける。その中で、遠目にも、たたずまいが全く異…

金光教の教会にて

先日金光教の本部に立ち寄った時、うらぶれた門前町の様子に好感を持った。酒屋さんで神酒の小瓶を買ったのは、友人との話のタネにでもなればいいと思ったからだ。ところがふと思い立って、地元の教会を訪ねてみることにした。教会は自宅から一キロばかりの…

神社の恐怖

夕暮れ間近の神社の鳥居の前に、十人ほどの人だかりがある。地元のお祭りか何かなのだろう、と脇によけて鳥居をくぐると、石段がはるか上に続くのが見えた。駅や商店街からも近い街道沿いだが、この神社の山だけは開発を免れているようだ。拝殿にたどり着く…

聖地巡礼(黒住・金光編)

黒住教の本部は、岡山市郊外にある。桃太郎で有名な吉備津神社に近い小高い山の上だ。中腹の駐車場に車をおいて、教団の施設の脇の石段を登っていくと、深い森の中に大きな神殿があった。多くの信者が集えるように内部は広く、縁と軒が大きく四方に張り出し…

里山の恐怖(その2)

ヒラトモ様のことは、村のお年寄りからの聞き取りと、幕末以来の文献で、薄皮をはぐようにわかってきた。それとともに恐怖の気持ちも薄らいできた。 おそらく事実はこうだ。初めは、時代のわからない武人の墓が山頂にあるだけだった。幕末に村人が盗掘のタタ…

里山の恐怖

『荒神』には実際の山村のリアリティや怖さが描かれていないと書いた。大井川近辺での体験から、それを拾い出してみる。 もう3年以上前のことだ。半世紀前に出版された地元の郷土史家の聞き書きで、大井村の里山にヒラトモ様という神様が祀られていることを…

黒住教祖逸話集 河本一止 1960

「教祖様の御逸話」(これが正式書名)として、昭和14年から19年まで連載されたものを戦後に教団が発行したもの。もう10年ほど前になるが、大井川流域の石祠クロスミ様の由来を調べているとき、名前が似ている黒住教の遠方の教会所に飛び込みで訪ねたこと…

江戸の元号

江戸時代の元号は36個ある。 以前から順番に暗記しようと思っていて、近ごろようやく覚え始めた。それと同時に、これも前から構想していた、大井川歩きの中で江戸の元号のコンプリートを目指す、という新しい遊びを始めることにした。いわば、路傍の元号を…

ミロク様

ヒラトモ様の鎮座する里山の中腹で、ミロク様の石の祠にお参りして、お酒を供える。 先代の住職は、年に一度お経をあげていたそうだから、おそらく仏教の弥勒菩薩と関係があって、だから村の鎮守に集められることもなく、山中に取り残されたのだろう。 祠に…

ヤドリギ

散歩の途中、遺跡公園の落葉樹の高い枝に、そこだけ丸く葉が残ったところがあるのに気づいた。直径50センチばかりの球状に黄色い葉が茂っている。 鳥の巣だろうか。後で知人が、ヤドリギだと教えてくれた。古代から神聖視され、人類学の古典『金枝篇』の金…

遥拝説発見!

「江戸っ子は、富士塚に登拝して、富士山登拝と同じ現世利益が得られると喜び、塚の頂上から富士山を遥拝した」『富士山文化』竹谷靱負より

ヒラトモ様

山上のヒラトモ様にお参りする。 平家物語の文庫本を開き、平知盛の最期の一節を、供養のために朗読した。 イノシシ猟の銃声が近づくのを聞きながら。

富士見公園

崖の上の小さな公園で、富士山に正対するようにベンチが置かれていた。 現代のシンプルな遥拝施設。

初庚申

勤め帰り1時間ばかり並んで、猿田彦神社にお参りした。 博多の古い町並みで戸口によく見かける、小さな猿面を授かる。 さる、だから災難が去る。 博多っ子の妻には、懐かしくも頼もしい門番となるはずだ。

富士塚

ビルの谷間の街中とは違って、郊外では、数メートルの盛り土の富士塚でも、はるかに富士が見通せる。 塚にまつった浅間神社の参拝だけでなく、富士山の遥拝が目的だったのでは、とふと思った。

クロスミ様

1年以上ぶりに、クロスミ様にお参りする。初詣になるので、梅酒の小瓶をおそなえして。 林道の途中で、初めてウソに出会った。黒い頭に鮮やかな朱色のマフラーを巻いたような、天神様のあの小鳥。 アトリの冬羽の雄や、アオジ、シロハラにも会えて、里山に…