大井川通信

大井川あたりの事ども

虫のいろいろ

セミのいろいろ

9月の下旬に入って、家の近くではもうツクツクボウシの鳴き声も聞かなくなった。ある程度まとまった林に行けば、まだツクツクボウシは元気にないているし、おそらく来月の初旬まで聞くこともできるだろう。しかし、もうセミのシーズンは終わったといっていい…

女王の交代

昨秋から、クモを観察するようになった。職場近くの林には、ジョロウグモのクモの巣があちこちにかかっている。自分の巣にぐるぐる巻きに絡まったときに脱出できるか、とか無慈悲な実験をやってみたりした。冬が深まると、巣の数は減っていくのだが、大寒波…

ゲンゴロウとガムシの食欲

この夏は、十年ぶりくらいにゲンゴロウとガムシを飼っている。 大き目のガラス瓶の底に砂利をいれてたもので、ハイイロゲンゴロウを二匹。小さめのガラス瓶にも同じく砂利を入れて、ウスイロシマゲンゴロウとヒメガムシを飼っている。 エサは乾燥したイトミ…

『田んぼの生きものたち ゲンゴロウ』 市川憲平 2010

子ども向けの写真絵本の体裁をとっているけれども、ゲンゴロウの生態についての総合的な知見を得ることができる本で、類書はなく、出版当時は、驚くとともに喜んだ。 著者の市川憲平(1950-)は、以前にタガメの繁殖戦略についての研究を、子どもむけの物語…

ゲンゴロウの歓喜

十数年前に、近所の田んぼにもゲンゴロウがいるのではないか、とふと思い立ち、近隣を歩き始めたのが、大井川歩きの原点だった。その夏に、10ミリ前後以上の大きさの中型種ではハイイロゲンゴロウとシマゲンゴロウ、コシマゲンゴロウを発見する。ろ過装置を…

世界は小ネタでできている

商業施設の裏手で、何か見慣れない虫がとんでいく。落下地点にいってみたら、カミキリムシだった。ゴマダラカミキリより一回り小さく、身体の斑点が黄色っぽい。キボシカミキリの名前がすぐに浮かぶ。首が長めで精悍な印象。昼間から飛ぶ気満々で、すぐに羽…

『カブトムシvs.クワガタムシ 強いのはどっちだ!』 本郷儀人 2015

著者の本郷儀人(1977-)は若手の昆虫学者。以前に『カブトムシとクワガタの最新科学』(2012)を読んで強く印象に残っていたのだが、それを子ども向けにやさしく書き直したような本だった。 『カブトムシ山に帰る』という本は、生活の中で身近な自然にとこ…

セミの死に方

昨日、自宅のケヤキの傍で、クマゼミ二匹とアブラゼミ一匹の死骸を見つけた。まとまってセミが死んでいるのを見たのは、今年初めてだ。庭で抜け殻をちらほらと見かけるようになったのは7月の初旬からだから、このセミは羽化後、一カ月近く生きていたと推測で…

『クマゼミから温暖化を考える』 沼田英治 2016

数年前からの積読だったが、今回のセミのマイブームで手に取ってみた。若い読者向けの本だが、面白い。クマゼミが大阪の街で増えたという事実を、さまざまな角度から、根気よく調べていく。著者の探究を支えるのは、次のような信念だ。 「大学の教員は社会と…

クマゼミの羽化

今月に入ってから、庭の周辺で見つけたセミの抜け殻を一カ所に集めている。手の届かないケヤキの枝の先に見つけたものも含めると、今日までで20個になった。そのうち19個は明らかにクマゼミで、一つはおそらくアブラゼミだろう。 二日前の夕方、庭の花壇の近…

カミキリムシの話

黒光りする硬い甲羅におおわれた甲虫は、昆虫少年のあこがれの的だ。カブトムシやクワガタムシ。水中ではゲンゴロウ族。ただし、どこにでもいて、戦闘力のないコガネムシやカナブンの仲間には魅力が感じられないのは、仕方のないことだろう。 それでは、カミ…

僕はニイニイゼミすら聞き分けていなかった

夕方、家の周辺を歩く。いろいろ反省することしきり。 まずは、先日ヒメハルゼミの調査と称して、近隣の神社を車で回ったこと。家の近所をたんねんに歩き回れば、ちょっとした鎮守の森程度の林はあちこちに見つかるのだ。そこを調べるのが、やはり大井川歩き…

ヒメハルゼミの研究(その4)

梅雨なのに今日も晴れ。まだ明るい午後7時に家を出て、徒歩で目的の場所に向かう。やはり大井川歩きの基本は徒歩でないと。村で常緑広葉樹の林が残っているのは、鎮守の森以外では、かつての墓山だろう。今では大井区の納骨堂が造られているが、その背後の高…

ヒメハルゼミの研究(その3)

今日は快晴に近いから、夕方でも明るい。午後6時半近くに和歌神社へ向かうため、秀円寺裏の林の道を下りていると、遠くからヒメハルゼミの合唱が聞こえる。しかし近づくと、鳴き止んでいた。再び鳴き始めたのは6時50分。曇りの夕方より本格的な鳴き始めは遅…

ヒメハルゼミの研究(その2)

仕事が終わってから、近隣では最大の鎮守の森がある宗像大社へ。午後6時を過ぎて人気のない境内を歩く。うっそうとした大木の並ぶ小道を歩いて、小山の上の祭祀場に向かう。奥の森からヒメハルゼミの鳴く声が小さく聞こえてくるが、アクセス可能な場所にはセ…

ヒメハルゼミの研究

午後5時過ぎに家を出て、歩いて5分ばかりの和歌神社にむかう。今日は曇っているので、すでに夕方らしい時刻だが、神社の境内にセミの声はない。いったん家に戻ろうとすると、突然裏の林からセミの合唱が始まる。5時30分頃だ。しばらく聞いてから家に戻り、帰…

ヒメハルゼミの合唱

数年前、職場近くの松林で、ハルゼミの存在に気づいて、驚いた。セミは、もっとも身近な昆虫であり、今さら新しい発見などないと思い込んでいたからだ。もっとも、ハルゼミは松林の中でなら、それほど珍しいセミではないのかもしれない。5月に奈良に行ったと…

ビワとカマキリ

以前に妻が、知り合いからビワの葉のエキスをもらってきて、それが市販の塗り薬よりもよく効くと話していた。それで自分で作りたいからビワの葉を見つけてほしいというので探すと、意外と身近なところにビワがあることに気づいた。近所のため池の縁にも、雑…

ゴマダラカミキリとケヤキの木

昼間、玄関の脇の地面に、ゴマダラカミキリが歩いている。今年も、そんな季節になったか。小ぶりの身体だが触覚が長く、見映えのするスタイルだ。黒地に白の斑点模様で、青みがかった光沢のウエットスーツを着込んだような姿だ。甲虫で美しさを感じるのは、…

黄脚毒蛾の乱舞

武蔵野に立地する某メーカーの研究所の敷地は、鬱蒼とした森になっている。周囲の開発から取り残されたブラックボックスみたいだ。 朝、敷地の塀に沿って歩いていると、モンシロチョウの姿が目立つ。しかし、どこか違和感がある。 モンシロチョウにしては、…

タカラダニとナミテントウ

家の垣根のレッドロビンがところどころ虫害で枯れてしまったので、思い切って抜いてしまって、擬木のフェンスを立ててもらった。枯れてない木も伸び放題だったので、庭がだいぶ明るく、広くなったように感じられる。 レッドロビンの垣根については、家族のも…

クモの話

クモが特別に苦手だという人がいる。以前同僚だった人は、一センチに満たない小さなクモにも逃げ回っていた。子どもの頃好きだった時代劇『素浪人花山大吉』(1969-1970)の中の人気キャラクター渡世人「焼津の半次」もクモが苦手だった。 昆虫好きだった僕…

ぼろぼろのイシガケチョウ

虫たちには厳しい季節がやってきた。林のジョロウグモの数もみるみる減って、主人のいなくなった巣を見かけるようになった。 自宅のカーポートの白い柱の根元に、見慣れない蝶か蛾のようなものが止まっている。止まっている、というか貼りついている。蝶か蛾…

寒風にゆれる女郎蜘蛛

以前、電灯近くのジョロウグモの巣に、一面コバエのような小さな虫がくっついているのを見たことがあった。明かりに集まったコバエが捕まってしまったのだろう。しかしこれでは、巣の存在が一目瞭然だ。すると主であるジョロウグモが、その一つ一つを口でく…

ジョウビタキとカトリヤンマ

夕方、夫婦で久しぶりに散歩をする。妻が、和歌神社にお礼参りにいくというので付き合ったのだ。前回、心配でお願いしていた検査結果が良かったから、スーパーで買った日本酒の小瓶をお供えするらしい。和歌神社の社殿の前でふたりそろってお参りしたが、妻…

天邪鬼と女郎蜘蛛

ポーの短編小説のなかに、「天邪鬼」(the perverse)を人間の本質とみる視点があることを書いた。われわれは、そうしてはいけないから、かえってそれをしてしまうのだ。ポーは小動物をいじめてしまうことを、その実例にあげている。 僕も自然観察者を気取り…

カメムシの侵入

庭のケヤキの木には、だいぶ以前から、毎年小さなカメムシが発生する。緑色ではなく、グレーの体で、幼虫の姿は、宇宙人のようにつるっとしている。我が家では見慣れた種類なのだが、手元の図鑑にはのっていない。 今頃の季節には、冬越しのために家に侵入し…

光速の竜とアサギマダラ

新幹線のホームに、南からやってきたN700系が停車している。例の恐竜のような長い鼻先を突き出して。 ふと架線の上に目をやると、ヒラヒラと飛ぶ蝶が目につく。白地に黒いシマの羽に、紅のアクセントが目をひく。南下の長い長い旅の途中のアサギマダラだ。 …

脱力系のカトリヤンマ

日の射さない林の中を、大柄のトンボが飛んでいる。見た目はヤンマのようだが、ハグロトンボみたいに、はかなげに羽をばたつかせて飛ぶ。みしみしと大男が歩くようなオニヤンマの力強さや、高速ギンヤンマの自由自在な飛行とは比べるべくもない。 近くの枝に…

ナガサキアゲハの幻惑

黒いアゲハが優雅に飛ぶ姿には目を奪われるが、残念ながら種類を見分けることができない、と以前に書いた。カモ類の識別ができないのと同じで、見かけがどれも似ているのだ。しかし、いつまでそんなことではすまされまいと、わかりやすい特徴から頭に入れて…