大井川通信

大井川あたりの事ども

鳥たち

私と鳥とお年寄りと

先日、若い友人の教師が遊びにきてくれた。今、何をしているのか聞かれたので、お年寄りと話すようにしている、と答えた。その流れで、かなり適当な理屈だけど、こんな話をした。子どもはかわいい。子どもには未来がある。子どもは教えたことをタオルみたい…

トビとアオサギ

またしてもトビの話題で申し訳ない。鳥好きの人からみれば、おそろしく雑な鳥見報告に思えるだろう。しかし、珍しい場面を目撃したので、記録しておきたい。 かなり上空をトビが旋回している。その近くを旋回する鳥がいるのだが、トビの仲間にしては形が違う…

台風一過

夕方から、いよいよ台風が近づいてきて、雨風の合間に、ふいに突風につき飛ばされそうになる。空には、ちぎれた雲がいっせいに同じ方向に流れているが、その中を、飛行機が一機、ななめに横切っていく。こんな天候にどうしたのだろうか。家の周辺を見回り、…

トンビとカラス

テレビシリーズの日本昔話に、こんな話を見つけた。 昔、鳥はみんな白かったという。トンビの田んぼの田植えを、鳥たちみんなが手伝いにきたりするのは微笑ましい。村人の似姿だ。そのときに、連れてきたヒナたちが、親を間違えてついて帰ってしまう。 村の…

トビとナマズ

ふいに田んぼから飛び上がったトビが、何かだらりとつりさげている。魚にしてはヒレなどが目立たずに、妙にぬめっとしている。反対側のあぜに着地しても、獲物に食いつく様子はない。気になって近づくと、また同じ獲物をぶるさげて、林の入り口まで飛んで行…

トンビに油揚げをさらわれる

こんどは、学校に行きにくい子どもたちに話す機会に、鳥の鳴き声について解説してみることにした。かりに人間関係に難しさを感じているなら、自然との友人関係は、どんなにか支えとなるだろう。 友だちになりたいなら、どうしたらいいかな。相手のことに関心…

鳥の声とともに(おまけ)

鳥の声の話をしたのは、視覚障害のある子どもたちのためだったけれども、同席した大人から反響があった。 教員の卵のKさんに、子どもたちの反応を聞いてみたら、何より自分が驚いたという。カラスの鳴き声の違いに気づいていたが、2種類いるとは知らなかっ…

鳥の声とともに(つづき)

子どもたちと鳥の声で楽しんだあとに、視覚障害が専門の教育大学の先生と、そのことを立ち話する機会があった。 先生は、鳥の剥製も触らせたらよかったですね、とアドバイスしてくれた。なるほどそうかもしれない。しかし、僕が鳥に興味をもってから、実際に…

鳥の声とともに

視覚特別支援学校に通う子どもたちに話す機会があった。本当は、決められた原稿の通りに挨拶すればいいのだけれども、どうしてもやりたいことがあった。昨年、同じような機会に少し鳥の鳴き声の話をしたのだが、子どもたちに好評だったと、あとで教えてくれ…

ホトトギスが鳴いた

5月16日の日中に、ホトトギスの初音を聞く。ほんとのことを言うと、先週くらいからそれらしき鳴き声をかすかに聞いていたのだが、まちがいなくホトトギスと認識できたのは初めてだ。手元のメモを見ると、昨年は5月12日、2015年は5月13日、2014年は5月18日と…

人は死んではいけない

開発が進むこの地域にも、大型の鳥の姿を見かけることは多い。トビや、アオサギやカワウなど。カラスだって、けっこう大きい。彼らの一羽一羽は、生まれ、育ち、老いて、死んでいっているはずだが、その死骸を見る機会はめったにない。残された森や里山の奥…

氏神とキビタキ

縁があって、とある氏神のお祭りに参列した。社は、小山の頂上にあって、林で囲まれた野外の境内でお祭りはとり行われた。大きな神社からきた狩衣の神職が、祝詞をあげたり、お祓いをしたりする。その間、参列者は、若い巫女さんの指示で、頭をさげたり、玉…

高槻のこずえにありて

鳥見を始める前は、短歌や俳句で名前だけを先に覚えてしまい、実物を知らない鳥がけっこういた。ホオジロもそのひとつ。 「高槻のこずえにありて頬白のさへづる春となりにけるかも」 島木赤彦(1876-1926)のこの歌は、春の訪れの喜びを歌って鮮烈だ。高槻…

鳥たちの「春活」

通勤の道の電柱の上に、木の小枝でまるまるとくみ上げた巣に、さかんにカササギが出入りしている。電力会社に撤去されないことを祈ろう。 小さなカササギみたいな優美な姿のセグロセキレイが、田んぼのあぜ道でふしぎな振る舞いをしている。オスがきれいに黒…

ミロク山でサシバが舞う

「ひさの」に入居するHさんからお話をうかがった。Hさんは、大正三年生まれの103歳。Hさんが生まれ育ったのは、数キロメートル離れた近隣の旧村だ。話を聞く前にも、予習として江戸時代の地理書に目を通したり、少し歩いてみたりしていたのだが、実際にお…

カシパンとトビ

今の時期の浜辺には、海流の関係か、様々なものが打ち上げられる。製造年月日が先月の真新しいハングル文字の飲料ペットボトルが転がっている。先日ミサゴが、海面から獲物のダツをつかみあげる場面を目撃したが、ワニのような口のダツの頭だけが落ちている…

イソヒヨドリの弾道

国道沿いの駐車場に車を停めていると、黒い影が、前方の上空からまっすぐに飛んできて、見る見る大きくなって、頭をかすめる。とっさに振り向くと、そのままの浅い角度で、少し先の自動車の下のあたりに「着弾」した。 イソヒヨドリだ。そっと近づいてのぞき…

モズのはやにえ

ベテランの天文ファンの知人がいた。その世界で実績を積んでいて、自宅にも望遠鏡のドームを作り、相当の機材をもっていたようだ。僕は、小学生の高学年くらいの時だけの天文ファンだったが、デパートで望遠鏡のカタログを集めてきて、穴があくほど見つめて…

ミサゴと謎の魚ダツ

すっかり春の海だ。ここは外海だけれども、今日は波も穏やかで「ひねもすのたりのたり」という風情だ。僕はウニの仲間の殻を集めているのだが、この季節には、不気味な宇宙人の頭骨のようなヒラタブンブクや、丸くて薄いカシパンの殻が大量に打ち上げられる…

春が来た

何度も寒波に押し戻されながら、とうとう春がやってきた。 昨日初めて林のなかから、つっかえつっかえのさえずりを聞かせてくれたウグイスも、今朝はいくらか上手に「ホケキョー」と鳴いている。遠くのやぶから、ちょっとこい、ちょっとこい、とコジュケイの…

ミカンを食べる二羽のカラス

川の浅瀬に浮いていた大きなミカンを、一羽のハシブトガラスがくわえて、川べりまで持ち帰って食べ始めた。片足で動かないように押さえてから、鋭い嘴の先で打撃をくわえて穴をあけると、そこから嘴を入れて果肉をひっぱりだして食べている。なるほど、カラ…

カメラと鳥見

河口付近の枯れ木の梢で、カワラヒワがキリリと小さく鳴いている。双眼鏡で見ると、左右に首を振り向けながら、そのつど首をかしげている。可愛いのが半分、奇妙なのが半分の動作だ。何のためにしてるのか、考えながら歩いていると、望遠レンズ付きのカメラ…

大井川歩きで山城に登る

穏やかな日差しに誘われて、久しぶりに大井川歩き。天候やら用事やらで地元を歩くのはだいぶ間があいてしまった。歩くとまちがいなく楽しくいろいろ発見もあるので、これからはできるだけ毎週歩こうと、あらためて思った。 ダムで見慣れぬ大きな水鳥をみつけ…

春一番とガビチョウ

昼間、車道の脇を歩いていたら、ボヤっと赤いものがゆっくり飛んできてズボンに止まる。のぞきこむと、ナナホシテントウだった。手に取ると、思ったよりはるかに小さい。ただ暖かい日差しを受けて、濡れたように光っている。指を立てると先端まで登って飛び…

ある訃報

石牟礼道子さんが亡くなった。水俣病を告発し支援し続けた作家として、地元の新聞では一面トップと社会面で特大の扱いをしている。僕は『苦海浄土』すら読んでいないし、高群逸子を扱ったシンポジウムで、上野千鶴子らと登壇している姿を見たことがあるくら…

闖入者ミソサザイ

芭蕉の門人に野沢凡兆(1640-1714)という人がいる。才能豊かだったが、師を離れ不幸な晩年を送ったらしい。学生の頃、凡兆が気になって、大学図書館から戦前出版された全句集を借り出したことがある。その時全頁をコピーして紐で閉じたものが手元に残って…

ターナーの水鳥

知り合いの教師からこんな話を聞いたことがある。大学の付属小学校に勤務していたとき、ベテラン教員から教えられた話だという。若いころ、一生懸命に準備して研究授業を行った。その講評の際、いきなり授業の中身でなく、校庭にどんな鳥が来ているか、と尋…

シロハラの事故死

施設のガラスに激突して、そのまま死んでしまったシロハラのオスを見つけた。ふだん遠くからうかがうだけの鳥を、間近に観察できるのはこんな機会しかない。生活ぶりも、見た目もとても地味な印象の鳥なのだが、実際には、色合いのグラデーションが繊細でと…

チョウゲンボウを見た

初夢の縁起物として、一富士二鷹三茄子、と言われるくらいだから、昔から鷹は珍重されてきたのだろう。トンビが鷹を産む、ということわざからは、姿形が立派でもめったに生きた獲物の狩りをしないトンビは、鷹のカテゴリーに入れてもらえないことがわかる。…

センダンの生存戦略

海に近いこの地方では、松や杉などの常緑樹に混じって、すっかり葉を落とし、枯れ枝に鈴なりの実をつけたセンダンの木が目立つようになった。サクランボより小さな黄色っぽい実が、太陽の光を浴びると金色に輝いて意外なほど美しい。 鳥見の会に参加して、ま…