大井川通信

大井川あたりの事ども

鳥たち

蜜柑と翡翠

うつうつ、くさくさした気持ちで道を歩いていた。考えないようにしても、いつのまにか考えてしまう。考え出すと、ぐるぐると止まらなくなる。いかりやうらみつらみなどの感情がわきだして、あふれだし、のみこまれる。そのとき。 道のわきの水路のよどんだ流…

ハヤブサを見た

昼休み、河口付近の商業施設にお昼ごはんを食べに行く。すぐ頭の上の空を、二羽の鳥がもつれながら飛んでいく。カラスか何かがじゃれているのかと、反射的に思った。 しかし、川の向こうに逃れていった一羽はハトで、取り逃がした方の一羽は、今度は急転回し…

大風のなかのチョウゲンポウ

冬の嵐のような大風の中、自在に飛び回る鷹を見て、気持ちが高まったという話。 僕の住むあたりより山側の集落で車を走らせているとき、鷹らしき鳥の姿が目に留まったので道路わきに車をとめて、単眼鏡をもって外に出た。 鷹は二羽いる。細長い翼の先がとが…

鳥たちと虫たちと

通勤で、川沿いの道を下流へ車を走らせる。そのとき、上流へと川をパトロール中のミサゴとすれ違う。鋭い眼光で獲物をねらっている狩人の登場に、僕のほうにも緊張が走る。 堤の下には、アトリやチョウゲンボウのいた農耕地が広がっているが、今朝はその気配…

チョウゲンボウの狩り

二年前の冬、チョウゲンボウを見た、という記事を書いた。アトリを探し歩いている冬枯れの農耕地で、久しぶりにチョウゲンボウに出会った。 電線に姿勢よくとまるすっきりとしたシルエットは、一見して鷹だとわかる。カラスよりは一回り以上小さいが、尾羽が…

木彫りの熊とホシフグとミサゴの海

流木をひろおうと思って、砂浜を歩いていると、一抱えもあるような木彫りの熊の置物が打ち上げられている。鼻のあたりは無残にもげていて。またしばらく歩くと、小さな丸々としたフグが落ちている。全身黒っぽいが、無数の白い斑点が並んでいてきれいだ。あ…

キジも鳴かずば

職場近くの農耕地で、道の脇に大きな鳥の影が見えた。車をとめてよく見ると、キジのオスである。数年前、このあたりでメスを見た。家の近所の畑でつがいを見たのは、もう10年近く前のことだ。鳥見を続けていて、見たのはそれきりだから、市街地が広がるこの…

小鳥たちの混群に包まれて

背の低い木々の明るい林の中を歩いているとき、突然、周囲に小鳥たちの気配がして、いつのまにか小鳥たちの群れに包まれている時ほど、鳥好きにとって至福の時間はないだろう。 これはおそらくカラ類の混群(いくつかの種類の小鳥が交ざった群)だろうと思い…

鳥と猫の友だちの話

はじめは鳥の話。 高校の頃、一羽のセキセイインコが庭の物干しに止まったのを、母親が捕まえて、家で飼うようになった。羽の先が背中でクロスするのが特徴だった。家族で可愛がっていたが、僕が庭で鳥カゴを運んでいる時に落としてしまって、インコはカゴを…

『ある小さなスズメの記録』 クレア・キップス 1953

この世界のあらゆる生き物は、種類として、グループの一員として存在していて、その種の名前において認識される。スズメとか、タヌキとか、キリンというように。 僕が、今日生まれて初めてトラツグミを見た、と言って喜んでいるときも、たまたまその林の木の…

メジロのさえずり

松林の中を歩いていたら、小鳥が飛んできて、松の梢のてっぺんにとまって、さえずり始める。葉の落ちた枝の先だから、よく目立つ。こんな振る舞いは、ホオジロかカワラヒワのはずなのだが、ずっと小さい。 メジロだ。しかし、メジロは、集団でやってきて、木…

鳥にも年齢がある

子どもの頃持っていた理科学習漫画『鳥の博物館』を古書で手に入れて、パラパラとめくっている時、「ながいきくらべ」というページがあった。トビが120年生きるなんてことが真顔で書かれていてびっくりしたが、さすがにそんなことはない。それでも、実際には…

日曜日のデデポッポ

日曜日の朝、外に出ると、デデポッポポー、デデポッポポーと、どこからともなくのどかな調子のキジバトの声が聞こえる。こればかりは、住む場所が千キロ離れようが、50年の時間を隔てようが、変わらない。 それで、ブログに、「日曜日のデデポッポ」という記…

旅の途中のオオソリハシシギに会う

昼休み、浜辺を歩いていると、ミサゴが海の上を砂浜と並行に飛んでいく。筋肉質の白い姿に見とれていると、また一羽あとを追うようにして飛行する。青空をバックに直線的に羽ばたき、滑空する姿は美しい。 ミサゴを見ると、ついつい近くに知り合いがいると…

春の革命

今日、家の近所の商店街で、初めてツバメをみた。一羽だけだったけれど、力強く宙を舞っていた。やがて後続の仲間が姿を見せるようになるだろう。 昨日、職場の植え込みで、スズメがしきりにもう一羽のスズメの背中に乗ろうとする。数秒間背中の上で羽ばたい…

行く鳥・来る鳥

数日前、大井川の土手の近くを歩いていると、足もとから一せいに飛び立つ鳥の群れがあった。ハトかムクドリだろう。電線に止まった一羽に双眼鏡を向けると、なんとツグミだった。冬の野原では単独行動が目立つツグミも、群れで渡りに備える季節になったのだ。…

春の鳥

朝風呂に入っていたら、ホーホケキョというさえずりが小さく聞こえる。今年は暖冬だから、真冬なのにビックリするくらい温かい日にウグイスのさえずりを聞いてはいたが、春先に聞くのは初めてである。それも自宅で、というのはうれしい。 トンビのピーヒョロ…

あなた、ハトじゃないわよね

田んぼのがひろがる脇の道でのんびり自動車を走らす。電線から大柄の小鳥が地面にダイブする。モズだろう。この冬もとうとうモズのはやにえを見つけられなかったと、ちらっと頭をかすめる。 畑の脇の小屋の屋根の上で、青い鳥がしきりに尾を振っている。その…

鵺(ぬえ)の正体

この冬、冬鳥をあまり見かけないと思っていたら、自分が実際に鳥見に歩いていないことに気づいた。鳥たちは、こちらが関心をもって戸を叩かないと、ほとんど姿を見せてくれることはない。 久しぶりの好天の大井川歩き。双眼鏡の焦点を合わせたり、目当ての場…

獲物のあがる日

海からの風が強く、波も荒い日、朝から松林の上にはカラスが飛び回っている。こんな時、二羽で追いかけっこを始めるカラスが必ずいる。どこかはしゃいでいるようだ。 夏には子どもたちが占拠していた浜辺も、今は荒涼として、鳥たちが獲物があがるのを待つえ…

鳥の巣をひろう

林の中で鳥の巣をひろった。初めてのことだ。 小さなどんぶりくらいのサイズで、真中に直径5センチメートルくらいのきれいな半円の穴が作られている。内側は茶色の細い植物の繊維のようなもので編まれているが、外側は白っぽい材料が目立って、編み方も雑に…

ミソサザイを看取る

朝から職場で、スズメが部屋に紛れ込んだと騒いでいる。窓を開けて出て来るのを待っているのだが、書棚の上などに隠れてなかなか飛び立たない。ようやく飛び立つと、ガラスにぶつかって、またどこかに隠れてしまった。 こんどは部屋を横切るようにながく飛…

コジュケイの「ぴ~ぁ」

朝、周囲の林から、「チョットコイ、チョットコイ」と大声で鳴く鳥の声が聞こえる。近頃は、春先ほどには耳にしなくなったが、コジュケイだ。たいていはヤブの中だが、たまに道路わきにその腰高の姿をみせることもある。ウズラとニワトリのかけあわせみたい…

ツバメの再来

僕の住む街では、ツバメは、三月の中旬にやってきて、八月の終わり頃に姿を消す。初めて見た日は印象に残るが、最後に見た日というのはなかなかわからない。9月に入って、あれそういえば近頃まったく見ないな、と気づくくらいだ。 ツバメを見かけなくなって…

山雀の五右衛門風呂

ヤマガラ(山雀)は、住宅街にもよくでてくるシジュウカラ(四十雀)によく似た小鳥だ。シジュウカラは、黒白の頭に灰色の羽をもつ小鳥。こうかくと地味なようだが、色の塗分けがきれいで、モダンな印象。 一方、ヤマガラは、お腹が濃いオレンジなのはいいが…

トビとアオサギ

またしてもトビの話題で申し訳ない。鳥好きの人からみれば、おそろしく雑な鳥見報告に思えるだろう。しかし、珍しい場面を目撃したので、記録しておきたい。 かなり上空をトビが旋回している。その近くを旋回する鳥がいるのだが、トビの仲間にしては形が違う…

台風一過

夕方から、いよいよ台風が近づいてきて、雨風の合間に、ふいに突風につき飛ばされそうになる。空には、ちぎれた雲がいっせいに同じ方向に流れているが、その中を、飛行機が一機、ななめに横切っていく。こんな天候にどうしたのだろうか。家の周辺を見回り、…

トンビとカラス

テレビシリーズの日本昔話に、こんな話を見つけた。 昔、鳥はみんな白かったという。トンビの田んぼの田植えを、鳥たちみんなが手伝いにきたりするのは微笑ましい。村人の似姿だ。そのときに、連れてきたヒナたちが、親を間違えてついて帰ってしまう。 村の…

トビとナマズ

ふいに田んぼから飛び上がったトビが、何かだらりとつりさげている。魚にしてはヒレなどが目立たずに、妙にぬめっとしている。反対側のあぜに着地しても、獲物に食いつく様子はない。気になって近づくと、また同じ獲物をぶるさげて、林の入り口まで飛んで行…

トンビに油揚げをさらわれる

こんどは、学校に行きにくい子どもたちに話す機会に、鳥の鳴き声について解説してみることにした。かりに人間関係に難しさを感じているなら、自然との友人関係は、どんなにか支えとなるだろう。 友だちになりたいなら、どうしたらいいかな。相手のことに関心…