大井川通信

大井川あたりの事ども

金光教の教会にて

先日金光教の本部に立ち寄った時、うらぶれた門前町の様子に好感を持った。酒屋さんで神酒の小瓶を買ったのは、友人との話のタネにでもなればいいと思ったからだ。ところがふと思い立って、地元の教会を訪ねてみることにした。教会は自宅から一キロばかりの街中にあって、相当年季の入った木造の平屋である。大井川歩きの観点からは、僕の「責任」の範囲内だ。

よくこの辺を歩いている者だが、たまたま本部に立ち寄ってお酒を買ってきたのでお参りさせてほしい、と我ながらどうにも不自然な説明をする。応対に出た教会長さんは、唐突な申し出にやや面食らった様子だったが招き入れてくれる。内部は、板張りの広いホールになっていて、一段高くなった正面に簡素な祭壇があり、ご神体というのだろうか、教祖の書付が掲げてある。教えられたとおり一礼し四拍してからお祈りすると、祭壇のお酒をすぐに下げて戻される。神が降りてお神酒となったものをいただくのが流儀のようだ。その後、開祖金光大神についての話などをうかがう。

教会長さんの祖父がこの地に来て教会を建ててから、今年で90年になるそうだ。三代目で、数年間修行で他地域に行った以外は、この土地で金光教の教師の仕事を続けてきたという。この間、たくさんの人たちの悩みに向き合ってきたことが、彼の穏やかな話ぶりから想像できた。