大井川通信

大井川あたりの事ども

ハラビロカマキリの闘い(その3)

ハラビロカミキリの洗脳状態での不名誉な姿を記事にしてしまったので、彼の本領である真剣勝負を記録しておくことにしよう。

四、五年まえのことだ。自宅の玄関を入ろうとすると、地面から、ボリボリ、ボリボリ、という音が聞こえて来た。あわてて下を見ると、舗装道路のわきで、昆虫同士がからみあって落ちている。闘っているのは、ハラビロカマキリスズメバチだった。

優勢なのはスズメバチで、ボリボリというのは、スズメバチがカマキリの身体を噛み切っている音のようだ。ピンと張りつめた空気のなか、二匹の死闘を息を飲んで見つめる。名のある格闘家同士の闘い、いやもっと神聖なものに立ち会っている気がした。どのくらい時間が過ぎただろうか、スズメバチはカマキリの死骸から作った肉だんごを抱えて、巣へと飛び去っていった。

おそらくハラビロカマキリが王者スズメバチを襲い、返り討ちにあったのだろう。しかし勝負は時の運で、カマキリにも十分勝機があるらしい。