大井川通信

大井川あたりの事ども

ストーブ1号2号

外出から帰ると、玄関でいつものストーブ1号とストーブ2号のデコボココンビが出迎えてくれる。1号は、背の高い円筒形のハロゲンヒーター。2号は、小ぶりだが多機能の優れものだ。

妻は昔から,多少強迫神経症気味で、気になることは何度も確認しないと気が済まない。ドアの鍵は、今でも3回くらいはガシャガシャしたり、回した鍵の水平の向きを指で左右になぞったりしている。エアコンは気にしないのだが、電気コードにつながれたヒーターは生き物みたいに恐れていて、コンセントから外して息の根を止め、リビングから玄関先まで運んでおかないと、外出の時は安心できないらしい。でも、出がけに「1号よし、2号よし」と呼びかけている姿を見ると、どこかペットを可愛がってるようでもある。

精神分析では、神経症は子供時代の体験に根を持っていると言われる。小学校のとき両親が離婚したり、ひどいイジメを受けたり大変な経験をしているのは間違いない。ただ、一生懸命二人の子供を育てるなかで自分に自信をつけて、強迫傾向もある程度落ち着いて来たような気がする。

それが、最近さらに確認の回数が減ったのだそうだ。観察眼に優れた次男の意見では、車の運転の練習を再開したのが原因だろうという。なるほど、車では信号や交差点など即座に判断しないといけないし、課題は次々にやってくる。運転が、一種の行動療法の役目を果たしているのは確かだろう。「頭の中で、ホックがパチッとはまるようになった」と妻はうれしそうに言う。