何度も寒波に押し戻されながら、とうとう春がやってきた。
昨日初めて林のなかから、つっかえつっかえのさえずりを聞かせてくれたウグイスも、今朝はいくらか上手に「ホケキョー」と鳴いている。遠くのやぶから、ちょっとこい、ちょっとこい、とコジュケイの声も聞こえてくる。
道ばたのスズメも一回り大きくなったようで、胸を反り返していばっている。朝、玄関を開けると外でカササギが二羽、激しい口調で鳴きかわしていた。すると通勤途中の道の電柱の真上に、いつのまにか木の枝で直径一メートルくらいの球形の巣をつくってある。カササギが天然記念物になっていないこの地域では、やがて電力会社の人に巣を撤去されてしまうのだろうけれど。
車のフロントガラスに一瞬に、何かがひるがえる飛影が映る。ツバメだろうか。見間違いだとしても、一週間後には、街中でふつうに出会えるはずだ。