こんどは、学校に行きにくい子どもたちに話す機会に、鳥の鳴き声について解説してみることにした。かりに人間関係に難しさを感じているなら、自然との友人関係は、どんなにか支えとなるだろう。
友だちになりたいなら、どうしたらいいかな。相手のことに関心をもって、よく知ることがたいせつだよね。
ごく短時間で、興味をもってもらうために、CDで聞く鳥の声は、さらに厳選する。まず、ハトとカラス。それぞれ身近な鳥だけれども、種類の違いがあることを知ってもらう。次に、ウグイスで、有名なさえずり以外にも、いろいろな鳴き声を出すことを説明する。
そして、トビ。海岸沿いの地元では、ふつうに見かける鳥だが、外見はびっくりするくらい立派なタカだし、ほとんど羽ばたかずに風に乗る飛び方にも特徴がある。鳥と人とのかかわりを知ってもらうために、トビ(トンビ)にまつわることわざを取り上げる。「トンビがタカを生む」「トンビに油揚げをさらわれる」
トンビがカラス追い払われる姿を見ると、しっかりしろと声をかけたくなるし、家族連れのお弁当をねらう姿を見かけることもある。
話が終わったあとに、海岸沿いを散歩していると、何かを空中に放り投げて、トビにエサをやっているおじさんに出会う。トビは、あの大きな身体ですばやくひるがえって、実に上手にその小さなエサをキャッチする。聞いてみると、ソーセージを小さくちぎったものだった。以前はパンを投げていたが、あまり捕らなくなったそうだ。ぜいたくになったんですね、と笑う。