大井川通信

大井川あたりの事ども

トビとナマズ

ふいに田んぼから飛び上がったトビが、何かだらりとつりさげている。魚にしてはヒレなどが目立たずに、妙にぬめっとしている。反対側のあぜに着地しても、獲物に食いつく様子はない。気になって近づくと、また同じ獲物をぶるさげて、林の入り口まで飛んで行く。

その場所に行くと、サイクリングロードの舗装の上に、大きなナマズが落ちていた。胴体の一部は欠けているが、頭から胸にかけてそのまま残っている。ハエがたかっていて、あまり新鮮な死骸ではなさそうだ。近くの大木の枝にトビがとまっているが、胴体の下側から尾羽の裏側が白っぽく、精悍な若鳥だ。

一時間ばかりあとに見に行ったが、ナマズの死骸はそのままだったから、エサにはせずに放棄したのだろう。梅雨の晴れ間。遠くでホトトギスがしきりに鳴く。