大井川通信

大井川あたりの事ども

ムジナがうろつく土地が意味にみちてくる(貉の生態研究③)

【フィールドの情報化】

寺社やホコラ、ため池、アパートなど土地のさまざまなモノは、それぞれの歴史をもつ。それぞれの歴史は、それに立ち会う生き証人をもつ。あるいは多少の記録をもつ。町角やあぜ道でよろよろと歩きながら登場するお年寄りたちは、個人情報保護という「奇怪な観念」に汚染される前の無垢の表情で、自分の氏名や生年、土地にまつわるたくさんの記憶を気前よく与えてくれる。

 

※地元の歴史地図みたいなものを開くと、実は僕の住むあたりは、名所や遺跡の無い歴史の空白地帯のように見える。しかし、道端で出会った人たちとの立ち話を通じて、けっしてそんなことはないと気づくことになった。