大井川通信

大井川あたりの事ども

ムジナが物語をくわえて方々に走り出す(貉の生態研究④)

【虚構の介入】

かつて北九州枝光での演劇ワークショップで、演出家の多田淳之介さんは、参加者に地元の事物をネタに寸劇を作らせて、それを実際に上演することで、鮮やかに「虚構」を地域の歴史につなげてみせた。自ら何年も枝光の盆踊りに飛入り参加し続けて。

大井川流域でも、地域の古老が話す伝承の断片は、「虚構」という接着剤でつなぎあわせると、新しい物語としてよみがえり、土地の歴史につらなっていく。

 

※お年寄りからの聞き書きをもとに、手作りの絵本をつくる。どのお話も同じ土地を舞台にしているから、各話の共通の登場人物が、自然とキャラクター化されたりする。今のところ、狂言回しの語り部は、村の氏神の祭神、柿本人麻呂だ。