大井川通信

大井川あたりの事ども

山雀の五右衛門風呂

ヤマガラ(山雀)は、住宅街にもよくでてくるシジュウカラ四十雀)によく似た小鳥だ。シジュウカラは、黒白の頭に灰色の羽をもつ小鳥。こうかくと地味なようだが、色の塗分けがきれいで、モダンな印象。

一方、ヤマガラは、お腹が濃いオレンジなのはいいが、全体にちょっとくすんでいて、やや田舎の匂いがする。見かけるのも、森や林の中が多い気がする。

雨上がりの林の散歩コースを歩いていると、遠くの木の幹にせわしなく動く小鳥を見つけたので、双眼鏡を向けた。ヤマガラが、ちょっと不思議な動きをしている。幹の高さ2メートルくらいのところに上を向いた穴があって、おそらく水がたまっているのだろう。そこにおしりから入って、首まで浸かってから、すぐに出てきて、ブルっと身体をふるわす。水滴が飛び散る。たまに全身が見えなくなって、穴から水滴が飛び散ることもある。

カラスの行水というたとえがあるが、その二、三秒の水浴びを、僕が見てからだけでも20回以上繰り返していた。幹の丸い穴に首だけ出しているところは、まるで天然のゴエモン風呂に入っているみたいだ。やがて、すっかり満足したのか、林の奥へ飛んで行った。