大井川通信

大井川あたりの事ども

ツバメの再来

僕の住む街では、ツバメは、三月の中旬にやってきて、八月の終わり頃に姿を消す。初めて見た日は印象に残るが、最後に見た日というのはなかなかわからない。9月に入って、あれそういえば近頃まったく見ないな、と気づくくらいだ。

ツバメを見かけなくなってから二週間以上たった今朝、職場の玄関前に、元気にとびかうツバメの群を見つけて驚いた。実は、九月に入ってからも、田んぼなどで数羽のツバメを見かける機会はあった。その時は、何らかの事情で、仲間といっしょに南の国にかえれなかったツバメだと思って、気の毒な気がしていた。越冬ツバメという、哀愁にみちた演歌もあったような。

しかし、この元気な群を見ているうちに、自分の考えの間違いに気づいた。ツバメは、日本列島の各地に、一カ月以上の時間差で現れる。今見ているツバメは、東日本や北日本で夏を過ごした群の渡りの途中なのだ。なるほど彼らは、昼前にはもう姿を消していた。

これから秋に見るツバメには、同情するのではなく、エールをおくろう。そう思った。