大井川通信

大井川あたりの事ども

夢の破片・夢の動機

★以前に書いた夢のノートから。

★著名な経営者カルロス・ゴーンの逮捕の報道に驚いて、それが夢になるのは何の不思議もない。ただ夢の中のゴーン氏のビルの中の様子は、異様で特異だった。

 

夢分析の本は、夢を完結した物語として取り出し、あたかも神話や伝承のテクストであるかのように、その隠された意味を分析する。しかし、実態として、夢はもっと断片的なイメージや恣意的な思いの集積なのではないだろうか。たまたま眠りの出口近くの夢の破片たちが、都合よくストーリーを紡ぎ出したときに、起き抜けの頭に夢の物語を意識させるのだと思う。

夢判断では、当人の隠された欲望や不安、さらにはもっと神秘的で深層の何かが変形されて夢に表出すると考えるようだ。しかし夢の成り立ちのいい加減さを考えると、どこか大げさでうそくさい。

僕の場合は、卑俗で表面的な欲望や思いが、ストレートに夢になっているような気がする。子どもの病気や住宅の不具合など、目下の関心事や過去の心配事が、そのまま夢に現れるから、動機について不思議に思うようなことはない。

むしろ夢の面白さは、隠された動機探しにあるのではなく、唐突で不可思議なイメージそのものと向き合うことにあるような気がする。