大井川通信

大井川あたりの事ども

こんな夢を見た(反体制小説家)

とある古書店で伊藤〇〇という小説家を知る。3巻本の全集を出していて、そのお店に来る人たちの間では神格化されている存在だった。僕もその一冊を手に取ってみるが、他の作家の書くものとは全く違うという真価を読み解くまでにはいたらない。

本を読んでいると、母親らしき女性が店に入ってきて、子どもの学習書が見たいという。しかし次の瞬間、伊藤〇〇の本が置かれているあたりの棚で爆発音が聞こえたので、僕はあわてて駆けつけて女を取り押さえる。女は、伊藤の本を破壊しようとしたのだ。実は、伊藤〇〇は、その特別な情報を秘めた作品によって、当局から危険視され、ねらわれている存在だった。

場面は一転して、伊藤〇〇の自宅へ。すでに当局によって電話などは盗聴され、建物は包囲されて拘束直前の状態だ。当局は、拘束を容易にするために、作家にウソの情報を流すが、聡明な伊藤〇〇はその矛盾に気づき、いちはやく自宅を抜け出して、走り出して逃亡する。

僕は伊藤〇〇を追って走り出すが、当局側でなく味方の人間であることを手早く説明して、彼と並走することになる。振り向くと、二人のかなり後を老婆の走る姿が見える。少しして振り返っても、なぜかその距離は変わっていない。

さらに振り返ると、今度は手が届くくらいの距離に迫っていて、形相が一変し、つかみかかってきそうになる。老婆の姿は変装だったのだ。僕はあわてて、その追っ手を突き飛ばし、伊藤〇〇を守ろうとする。