大井川通信

大井川あたりの事ども

セミの死に方

昨日、自宅のケヤキの傍で、クマゼミ二匹とアブラゼミ一匹の死骸を見つけた。まとまってセミが死んでいるのを見たのは、今年初めてだ。庭で抜け殻をちらほらと見かけるようになったのは7月の初旬からだから、このセミは羽化後、一カ月近く生きていたと推測できる。セミの成虫の命は数日とか一週間とかいうのは俗説であることは、こんなことからもわかる。

7月20日のブログに、庭をうろうろ歩きながら結局羽化できずに死んでしまった幼虫のことを書いた。その時、羽化を観察できたセミのことに触れていたのだが、実はあの話には後日談がある。

翌朝見に行くと、夜半の強風で抜け殻ごと羽化直後のセミが落ちてしまっていた。セミは近くのバラの茎にしがみついていたのだが、よく見ると、片方の羽が伸び切っていない。結局その場から動けずにそのまま死んでしまった。

昨日、職場の帰り、街道沿いの鎮守の森によると、アブラゼミの合唱の真っ最中だ。大木の幹の二メートル以上の高い場所に幼虫がとまっている。背中が割れて、白い成虫の身体がのぞいている。きっと羽化が始まるのだ。心残りはあったが、やぶ蚊に追い立てられて、帰路についた。

今朝、鎮守の森に寄ってみると、その幼虫は背中が割れたそのままの状態で木にとまっている。おそらくとっくに死んでいたのだ。羽化直前で、なんらかの事情で力尽きてしまったのだろう。

昨年は、庭のケヤキの幹にとまったまま死んでいたクマゼミの成虫が、そのままの姿で冬をむかえ、年を越した。今年の2月にケヤキの剪定をするときまで、標本の虫のように変色し生気を失いながら、真夏の夢を見続けたのだ。