大井川通信

大井川あたりの事ども

自分の子どもには最後までかかわらないといけない

職場の先輩のことば。

子育ては、むずかしい。自分ひとりが生きることだって、とてつもなく大変で、ふりかえれば欠落ばかりなのだから、まして他者の人生に大きく関与するふるまいが、うまくいかないのは当たり前なのかもしれない。

それなりに関わってきたつもりでも、足りないことが目立つ半面、過剰でやりすぎなところが気になったりする。うまくいかないことに腹をたてたり、うんざりしたりする。そんなとき、耳ざわりのいい、飛びつきたくなる言葉がある。

「もう子どもの自主性にまかせるべきではないか」

職場の先輩は、こうしてある時期、子どもへの関与を止めてしまったことを、深く後悔していた。たしかに過保護や押し付けは良くないけれども、実際にはとてもそこまでの関わりをしているわけではない。自主性の美名のもとに、必要最低限度のケアから撤退してしまう方が問題である、というのが、彼が得た教訓だった。

ちょうど子育てで悩んでいた時期だったので、彼の真情がよく共感できたためだろうか、彼の言葉はすなおに子育ての指針として僕にしみ込んで、その後、ずいぶんとこの言葉に助けられた。本来自己中心的で、なまけ癖のある僕には、自分を鞭打ってくれる指針なのだ。

先週には、他県に働いている長男から、仕事のことで相談の電話があった。次男の障害年金申請の面倒な手続きも、来週中には終わらせないといけない。一番身近な他者とのかかわりに区切りなどはない、ということだろう。