大井川通信

大井川あたりの事ども

面接試験の指導をする

知り合いに頼まれて、面接試験の指導をした。経験が少ないにもかかわらず、受験指導となると、つい力が入ってしまうのが悪い癖だ。さらには、そこそこの指導技術があるのではないかと勘違いしているものだから始末がわるい。

受験生は外見も態度も悪くない。真面目な人間なので、想定問答もしっかりつくってある。にもかかわらず、言葉が胸にひびかない。全体的に単調で、一本調子な感じがする。言葉がこちらに届く前に、受験生の顔の周辺に張られたバリヤーの内側に当たって、全部真下にぽろぽろ落ちてしまっているみたいだ。

自分のアピールポイントを、少ない数のキーワードへ煮詰めて、その必殺の武器を面接官に撃ち込むくらいの気迫で話すべきではないか。しかしこうした抽象的なアドバイスでは、目に見えた改善が見られない。

困り果てて、受験指導で有名な先生から直接教わった若い知人に、その指導の内容を聞いてみた。そして驚いた。

用意する回答の内容は、イメージが浮かぶものにすること。実際にそのイメージを浮かべながら話をすれば、面接官もまたイメージをつくりやすく印象が強くなる。そのためには、できるだけ自分の体験したエピソードを盛り込むべきだし、また、即答せずに、少しつまったくらいに話し出したほうが、自分の言葉を話していると評価される。

キーワードはイメージである。なんという簡単で実践的なアドバイスだろう。やはり餅は餅屋だ。実際の指導の場で試行錯誤しながら、つくりあげてきた指導法は、シンプルだが切れ味がちがう。

あくまで自分はアマチュアなのだと打ちのめされながらも、その指導法だけはさっそくパクらせてもらった。受験生の幸運を祈る。