大井川通信

大井川あたりの事ども

セミのいろいろ

9月の下旬に入って、家の近くではもうツクツクボウシの鳴き声も聞かなくなった。ある程度まとまった林に行けば、まだツクツクボウシは元気にないているし、おそらく来月の初旬まで聞くこともできるだろう。しかし、もうセミのシーズンは終わったといっていい。今年の夏のマイブームは、セミだった。書き残したことをメモしておこう。

この夏の最大の発見はヒメハルゼミだったが、これをきっかけにセミの微妙な聞き分けに意識が向くようになった。それでニイニイゼミを聞き分けることができるようになったが、実は平凡に思えたアブラゼミが意外とバラエティに富んだ鳴き方をすることに気づいたのだ。しかし、その聞きなしをつくり、鳴きまねをするところまではいかなかった。来季の課題。

9月の初旬に東京に帰省したとき、ハケの自然や大学構内の林では、さかんにミンミンゼミが鳴き続けていた。アブラゼミもまだ鳴いていたが、主役はあきらかにミンミンゼミだ。

僕の少年時代は東京郊外にはミンミンゼミがいなかった。千葉の母方の田舎を訪ねたときに聞いたのが印象に残っているくらいだから。それが今普通に鳴いているのは、やはりどこかキツネにつままれたようだ。

そのミンミンゼミの聞きなし。「ミン・ミン・ミン・ミン・・」と力強く一定に鳴き続けるパターンと、「ミーン・ミン・ミン・ミン・ミーン」と、最初に声を強く伸ばし、短いミンを二回か三回続けてから、最後に音を下げて伸ばす、というパターンを繰り返す鳴き方があることに気づいた。これも来季調査継続。

台風一過の今朝、昨晩さんざん揺さぶられたケヤキから避難したのか、門柱にクマゼミが一匹とまっていた。クマゼミはとっくに声を聞かなくなっている。庭で抜け殻を拾えた時期はほぼ7月中で、落ちている死体が目立ったのは8月の間だ。

例外的に一カ月半くらい生き延びている個体だろうか。それとも仲間たちに遅れて季節外れに羽化してしまった個体なのだろうか。僕は前者と思いたい。