大井川通信

大井川あたりの事ども

台風19号(ハギビス)の恐怖

台風の通り道といわれるような地域で暮らしているので、ずいぶん台風のことはわかったつもりになっている。

台風の進行方向で右側が風が強くなるが、左側はそれほどでもない。しかし、右側で近くを通っても、風がそこまで強くないときもある。屋根がわらがたくさん飛んで民家の屋根にブルーシートが目立った大きく恐ろしい台風は、もう20年前のことだ。

台風のニュースがあるたびに、東京の家族が心配して電話などしてくれるが、実際にはそこまでの被害や怖さはめったにないというのが本当のところだろう。台風が過ぎ去って、翌朝は台風一過の青空になって、台風のコースによっては、ようやくそのころ関東や東北でも風雨の影響があらわれたりする。

台風が逸れて、上陸せずに南の海のほうに行ってしまえば影響はほとんどない。逸れてくれても、別の場所に直撃してしまっては、さすがに素直には喜べない。

ただ、さほど強くはない場合でも、その影響圏に入ったときは、独特の不穏な雰囲気が感じられて、台風の渦中にいることははっきりと自覚できる。不規則な強風が、あおるように強いうねりをもって吹き荒れるという、あの感じだ。そして、台風の渦の大きさは、大きくても直径数百キロという体感がある。

今回の台風19号は、早いうちに進路予想から九州ははずれていた。現在、太平洋上を東海から関東に向かって真っすぐに進んでおり、今晩には上陸が予想されていて、首都圏での戦々恐々とした様子がニュースで報道されている。

しかしここ北部九州でも、夜半からいかにも台風という風が吹き荒れて、今日の午後になっても吹き止まないどころか、かえって強さを増している感じである。台風の中心ははるかに東700キロ以上の海上にあるというのに。

1000キロ離れた東京と九州が、同時刻に、同じ台風の強い渦の中に飲み込まれるなんて事態は、経験したこともなければ想像もつかない。今晩はいったいどんなことになってしまうのだろうか。