大井川通信

大井川あたりの事ども

「お財布・携帯・鍵」

僕は、とにかくそそっかしい。それでよく、出かけるときや外出先でかんじんなものを忘れる。それを見かねた友人が、もう10年以上前に作ってくれた合言葉が、「お財布・携帯・鍵」だ。なるほど、この三つさえあれば、あとはなんとかなるだろう。

しかし、この合言葉にも弱点がある。かなりの頻度でこの言葉を唱えること自体を忘れてしまうのだ。それはなぜなのか。

家を出発したり、職場を離れたり、外出先で席を立ったりするときは、たいてい頭の中は、遅刻しそうな時刻のことや同僚の視線や次の予定のことなどで、いっぱいいっぱいになっている。悠長に合言葉を唱えたりする余裕はないのである。

実は昨日も、職場から戻ってから、お財布がないのに気づき、泣く泣く取りに戻った。途中で気づいてユーターンしたことも含めたら、今年に入ってからでも相当の回数になっている。これはまずい。

作戦をかえよう。記憶の機能が衰えて忘れっぽくなっているのだから、「思い出すこと」に頼る作戦がだめなのだ。ことさら何かを思い出さなくても、忘れ物をしない方法にチェンジすればよい。じつは、これには経験がある。

お店など一時的に立ち寄った先でものを無くさないために、自分の持ち物を一瞬でも、自分の身体から離すことをやめたのだ。駅のベンチでも、手持ちのものは、身体から離さずに必ずひざの上にのせる。さらに席を立つときは、必ず振り返って忘れ物がないか確認する習慣をつける。

つまり、自分(の記憶力)を信用せずに、ものとの接触を保つ、という作戦だ。これで、置き忘れることはほとんどなくなった。

この作戦を拡大したらいい。お財布、携帯、鍵についても、いつも持ち歩くカバンの中という定位置を決めておく。そして、使ったあとは、いつもカバンに戻しておくこと。これでいこう。