大井川通信

大井川あたりの事ども

鳥たちと虫たちと

通勤で、川沿いの道を下流へ車を走らせる。そのとき、上流へと川をパトロール中のミサゴとすれ違う。鋭い眼光で獲物をねらっている狩人の登場に、僕のほうにも緊張が走る。

堤の下には、アトリやチョウゲンボウのいた農耕地が広がっているが、今朝はその気配がない。ふと、下流の電線に、たくさんのカラスが並んでいるのが目に入る。その密度から、ふつうのカラスの群れでないことがわかる。この冬初めて見る千羽ガラス、大陸から渡ってきたミヤマガラスの群れだ。

わらわらと騒ぐ群れの下を、僕の車が通過する。渡り鳥なのに、深山カラスという名前なのはなぜだろう。おそらく昔の人たちは、冬季にこつ然と現れるカラスたちの本拠を、まさか異国とは思わないで、深い山の中と推測したためではないのか。

日中には温度があがる。昼休みに職場の周辺を歩くと、だいぶ数は減ったものの、ジョロウグモの姿が目立つ。今年も年明けまでしぶとく生き残る個体がきっといるはずだ。駐車場で小さな虫がゆっくり飛んでいるのが目に入る。つかまえると、ナナホシテントウだ。思ったよりも小さく、思ったよりも美しい。宝石のひとしずくという感じ。そっと、野草の上にかえす。