大井川通信

大井川あたりの事ども

ハイイロゲンゴロウの昇天

今年、十何年かぶりかで、ゲンゴロウを飼った。その前は、50年前の小学生の時にさかのぼる。

今年は、ウスイロシマゲンゴロウという、初めての種類を見つけたのがきっかけだった。8月13日のことだ。ウスイロは、小さなオタマジャクシを与えたときなど、ハイイロゲンゴロウに負けないくらいのどう猛さを見せてくれたのだが、一月後の9月13日には帰らぬ虫となった。

残った二匹のハイイロは、玄関先のビンの中で、えさの乾燥イトミミズや川エビによる水質の悪化や、飼い主の管理の怠慢にも耐えながら生き続け、11月に一匹を失ったものの、もう一匹はしぶとく生き延びている。

ネットで見ると冬越しも可能だというので楽しみにしていたが、前日にちょっと様子がおかしく水面に浮かんでいたので、指先でつつくと、気を取り直したようにあわてて泳ぎだした。それが今朝は、前羽を広げて、ひっくり返って浮かんでいる。クリスマスの日に完全に天に召された状態だ。

毎年、街道脇の苗代田にわらわらと発生し、悪条件の中で子孫を残しているハイイロゲンゴロウの生命力にはあらためて驚嘆した。僕は個人的に「ハイイロゲンゴロウ最強説」を唱えているのだが、他のゲンゴロウばかりか他の昆虫とも、何か生きる力においてレベルが数段勝っている気がするのだ。

来年は冬越しの条件を研究して、その生態に迫ってみたい。