しばらく、あまり夢をみない時期が続いていたのだが、このごろはずいぶんとまた夢をみるようになった。なぜだろう。
近所を散歩していると、誰かの家の敷地に、毛むくじゃらの子犬みたいな動物をみつける。顔に特徴があって、口が縦に割れており、鼻のあたりには落ち葉みたいな模様が並んでいる。毛だらけの顔の上のほうに小さな目がのぞいている。こう書くと不気味なようだが、身体が丸くて小さいので、けっこう愛らしい。
近ごろ、街中に進出してきた「きょん」だろうと納得して、自分の家に戻ると、すでに庭にはその動物の姿が見える。家といっても、今の自分の家とは違って、日本家屋のようで縁側もあり開口部も多い。さっそく「きょん」は家の中に侵入してくる。
捕まえようとすると毛深い身体をくねらせて、鋭い歯でかみついてくる。これでは我が家のペットの猫の九太郎では太刀打ちできない。ケガをしてしまうだろう。
我が家が目をつけられたようで、庭には色違いの「きょん」が何匹もあつまっている。痛い思いをしないとあきらめないだろうと、子どものおもちゃだった空気銃で狙うが、弾があたるとびくっとするものの、すぐになれて向かってくる。
僕は庭に飛び出して、キョンを蹴ろうとするが、サッカーボールを空振りしたときみたいに足が空を切る。そうこうするうちに、家の中に「きょん」が何匹も入り込んできて、収拾がつかなくなる。
目を覚ましてから、ネットで調べると、キョンは外来生物だがシカの仲間で、夢に出てきた動物とはまるで見かけが違う。都市部で繁殖するハクビシンの方がまだ似ているかもしれない。