大井川通信

大井川あたりの事ども

2020-06-24から1日間の記事一覧

『月』(辺見庸 2018)を読む・続き

前回、この小説が、言葉をもたない重度の障害者の存在に肉薄するものでないことを指摘した。そのために、この小説においては、意識や人格の有無が単純な二分法でとらえられていて、それは「さとくん」の殺人の論理と少しも変わっていないのだ。 著者の無自覚…