大井川通信

大井川あたりの事ども

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

いよいよ三月

計画では、二月の「点検月」を経て、つまりもろもろの最終点検が完了して、来月は「展望月」、つまり今後にむかってのもろもろの準備にとりかかるはずだったのだけれども、世の中はままならないもの。今だ点検にとりかかってもいない部分が多い。 ただ、三月…

九太郎、三歳

今日で九太郎が三歳になった。ちなみに一昨日は、次男が23歳を迎えている。次男とは、ほぼ20年違いか。 懸案のボンちゃんとの関係は、一進一退でいい方向にいっているわけではない。無邪気さと愛らしさでまさるボンちゃんの人気に、九太郎は少し危機感を抱い…

「春の寺」 室生犀星 1914

うつくしきみ寺なり/み寺にさくられうらんたれば/うぐひすしたたり/さくら樹にすずめら交(さか)り/かんかんと鐘鳴りてすずろなり/かんかんと鐘なりてさかんなれば/をとめらひそやかに/ちちははのなすことをして遊ぶなり/門もくれなゐ炎炎と/うつ…

『みならい騎士とブーツどろぼう』 クエンティン・ブレイク 1973

翻訳は2013年だから、割と最近のことだ。原著から実に40年後の出版ということになる。年表で確認すると、比較的初期の作品になるが、ストーリーもていねいに作られているし、絵もしっかり描かれていて、完成された作品という気がする。 騎士のサー・トーマス…

『平成史』 與那覇潤 2021

読書会の課題図書として読んだが、実に読みにくい本だった。なじみのある同時代の出来事や論壇が扱われているから、それらを手がかりにして思わぬ視点や見晴らしを与えてくれるだろうと期待していた。しかし読めば読むほどわからなくなる。 それは、一つには…

大井炭鉱跡を歩く

夕方近くなってからの里山歩き。本当は久しぶりに縦走コースを歩きたかったが、さすがに事故等のリスクが気になる。それで、一年ぶりに大井炭鉱跡を探索することにした。途中まで道があるし、ふもと近くなので距離はない。 ここ数年でずいぶん荒れてしまい、…

『日本近代建築ベスト50』 小川格 2020

建築雑誌の編集部に勤務していた著者が、若いころに体験した近代建築の充実期を書き残しておきたいという思いから作られた建築ガイド。だから、建築学者による専門的な解説とは一味違った、意外なエピソードや個性的な切り口が満載で面白い。 たとえば、重要…

こんにゃく(婚約)指輪

今月の勉強会のテーマは、少し柔らかくガチャポンにしようと思う。それで、近ごろはこまめにガチャポンのコーナーやお店をのぞくようにしているが、実際に購入してみたいものはそうそうない。 おでんの具が指輪になったシリーズがあって、これは最初にいいな…

『タマゾン川』 山崎充哲 2012

僕にとって、故郷の川は、東京郊外を流れる多摩川だ。これは多摩川で自然保護に取り組む、自然環境調査コンサルタントを仕事とする著者の本。子ども向きの本だから、わかりやすくスラスラと読めて、とてもためになった。 多摩川がなぜ、タマゾン川なのか。そ…

『ザカズー』 クエンティン・ブレイク 1998

日本版は、2002年刊行。今は品切れのようで新刊書で手に入らないのが残念。 クエンティン・ブレイクを『みどりの船』で知ってから、図書館で過去の作品をあさっているが、これは出色の出来だ。簡単で印象的なストーリーのなかに、子育てと親子関係の本質を、…

『ふしぎなバイオリン』 クエンティン・ブレイク 1968

定番の「岩波子どもの本」として1976年に翻訳出版されているが、現在では新刊で入手できない。クエンティン・ブレイク自身の絵本としては最初のものらしく、絵もストーリーも少し稚拙な感じがする。 パトリックが原題だが、その名の若者が中古のバイオリンを…

入口と出口

定年とはいっても、まだ仕事を辞めるわけにはいかないので、転職するだけである。ただ、やはり定年という響きには、勤め人には強いインパクトがあって、社会人としての終わりを考えてしまう。何事にも出口があれば入口があるから、それとの連想で社会人にな…

チョウゲンボウについていく

大井の枯れ田の中を歩いていると、街道沿いの電柱のてっぺんに見慣れない鳥がとまっているのが目についた。シルエットはタカなのだが、トンビほどは大きくない。以前、このあたりでノスリを見かけたが、そんなに立派な体格でもない。 双眼鏡で確認すると、身…

『タダの人の思想から』 小田実対談集 1978

石原慎太郎(1932-2022)が亡くなった。石原は思想的に合わなかったし、それもあって見た目とか態度とかも好きになれなかった。短編を一つ読んだくらい。 ただ、高校時代に出会ったこの本では、小田実(1932-2007)との対談に強烈な印象を受けた。他に宇井…

クロツラなのか、ヘラサギなのか

昨日みたサギのことが気になって、大井ダムをのぞきにいく。今日は双眼鏡を持って。 一羽が、浅瀬に突っ込んだくちばしを左右に振ってエサを探している。そこから離れた反対側の岸の近くに、寄り添って立つサギの群れを見つける。しかし様子がなんか変だ。近…

大井ダムの鳥たち

クロスミ様の初詣の帰り、大井ダムの脇の道を歩く。水かさは少なくて、湿地のような部分も見えるが、さすがにため池よりはずっと広い。遠くにカモの群れが見えるが、相変わらず水鳥にはそれほど興味がなく、双眼鏡で確認する気になれない。 シラサギが二羽ほ…

クロスミ様に初詣

遅ればせながら、用山(モチヤマ)のクロスミ様に初詣にでかける。お供えの焼酎の小瓶を持ち、クマ除け(イノシシ除けのつもり)の鈴をならしながら。 「昔、用山に悪魔が現れて・・・」 いつものように看板の由来書を朗読して、酒瓶を供えお参りをする。お…

『ゆめどろぼう』 みやざきひろかず 1996

ツタヤ併設のカフェのおかげで、ようやく絵本を読む習慣がついたので、ひさしぶりに図書館で絵本をあさってみた。 図書館の絵本のストックはかなりあるから、初めはどう手をつけていいかわからない。とりあえず新刊書コーナーで真新しい絵本を借りることから…

『ヘリコプターたち』 五味太郎 1997

長男の子育ての時に、五味太郎(1945-)の『さる・るるる』という作品を見つけて気に入っていたが、今手元に残っていない。ナンセンスなコトバ遊びだが、忘れがたい絵本だ。 近ごろの絵本活動で、本屋で五味太郎の他の絵本も手に取ってみるのだが、やはり突…

『ケチャップマン』 鈴木のりたけ 2008

鈴木のりたけ(1975-)は、『ねるじかん』で知った。そのあと、本屋や図書館などでいくつか作品をのぞいてみた。達者な人で、いろいろなパターンの作品を描いていることを知る。ただ人物の顔立ちとかキャラクターの描き方とかで、感覚的になじめないところ…

『すてきな 三にんぐみ』 トミー・アンゲラー 1962

今参加している読書会主宰のニコさんが、ずいぶん前、紹介形式の読書会を企画したことがあって、その時彼女が紹介していた本。 絵本は立ち読みですぐ読めたが、「愛蔵ミニ版」という手のひらサイズを見つけて、気に入ったので今回購入した。絵本は本来大きな…

『文部科学省』 青木栄一 2021

文部科学省と日本の教育行政についての全体像と、その批判的な把握が簡潔に提示されている。 それは端的にいうと「内弁慶と外地蔵」の二面性ということになるだろう。筆者によると官邸や他の省庁にたいしてとても脆弱であるであるのに対して、「身内」である…

馬の掲示板

馬名を検索すると、一頭ごとの馬のプロフィールやら戦績やらの記録が充実したサイトがあって、そこに掲示板がついている。 僕にも贔屓の馬があるから、その馬の掲示板をさかのぼって見るのは楽しい。 掲示板だから、熱烈なファンもいれば、アンチもいる。ア…

隙自語

ネットスラングで、ネット上の掲示板などで使われる言葉なのを、最近知った。スキジゴ」または「スキアレバ、ジブンガタリ」と読む。 意味は、まさに、「隙あれば自分語り」ということで、匿名の掲示板などで空気を読まずに自分のことを長々と語ってしまう嫌…

ゴッホを見に行く

コロナ禍の中、ゴッホ展の会期終了が迫っているので、空いているであろう平日に休みをとり、妻を誘って車で出かける。前日に妻が長男に電話をしていて、在宅勤務の息子と昼ごはんを食べることになった。 長男をワンルームマンションの前のコンビニでひろい、…

詩集『動詞』から(続き)

高橋睦郎(1937~)の動詞の連作は、たぶん学生の頃、その一部が雑誌のバックナンバーに掲載されているのを見て知ったのだと思う。後に現代詩文庫のなかに、詩集の一部が収録されているのを見つけて、読み返した。 昨日は、哲学的な問いの結晶みたいな作品を…

『動詞Ⅰ、Ⅱ』高橋睦郎 1974、1978

念願だった二冊の詩集をようやく手に入れることができた。ネットで簡単に状態のいい古書を見つけたというわけだが、やはりうれしい。 ざっと目を通してみたが、やはり現代詩なので、即座にどれもこれもいいと感じるわけではない(ちょっと残念)。でも、きっ…

『ライスシャワー物語』 柴田哲孝 1998

昨年末に再刊された文庫で読む。おそらく人気ゲームのキャラとして注目を浴びたことによる再刊だろう。しかし、競馬に目覚めて4カ月目の僕には、競馬に関する様々な知識をまとめて理解するのに格好のドキュメンタリーだった。 学生時代から競馬をしているよ…