大井川通信

大井川あたりの事ども

トラマルハナバチの蜜集め

子どもの頃から、クマバチが好きだった。まんまるな黒いおしり。これまた丸い胴体には黄金色の毛が生えている。大人になってからは、春の藤見の藤棚で見かけることが多かったが、かなり大きな姿を不快に思うことはなかった。 スズメバチはもちろん、どんな小…

人を呪わば穴二つ

他人に害を与えれば、必ず自分にかえってくるということ。他人を呪い殺せば、自分も相手の恨みの報いで呪い殺され、結果墓穴が二つ必要になるということから。漠然と口にしてはいたが、意味まで調べたことはなかったので、こうまでダイナミックかつダイレク…

『人新世の「資本論」』 斎藤幸平 2020

コロナ感染症で宿泊療養施設のホテルに隔離された時に持ち込んだ本の一冊。いわずとしれたベストセラー。今時マルクスの研究者の本が売れ続けているというのが不思議だったが、ようやく手に取って一気に読了し、その意味が納得できた。 とても良い本だ。読書…

『新世紀のコミュニズムへ』 大澤真幸 2021

読書会の課題図書。課題図書の指定のある前に、僕がすでにこの本を買って積読していたのは、やはりまだ大澤真幸という思想家に期待と幻想があったからだろう。 ところが、読み出してみると、これはとんでもない本だった。冒頭、コロナ禍の解決のためには世界…

『怪人二十面相』 江戸川乱歩 1936

読書会の課題図書で読む。昔懐かしい明智小五郎シリーズ。確かポプラ社で、同じような装丁のシャーロックホームズと怪盗ルパンの両シリーズとともによく読んだが、やはり明智小五郎が一番好きだった。 今回読み返して、いかにも少年もので、それまでの乱歩の…

介護初任者研修5日目と6日目

5日目は、移動に関する実技のある研修だった。ほんのさわりの部分の学習なのだろうが、ボディメカニクスの考え方には目を開かされた。 支持基底面が広いほど安定性を増すが、狭いと不安定になるかわりに運動性を増す。だから寝返りをさせるときは、利用者の…

露天風呂の祈り

退院明けには湯治と思って、何回か続けて近所の温泉に行ったが、長続きはしなかった。気分転換をしようと、およそ4カ月ぶりに温泉に入る。 平日の日中だから、それほど混んではいない。広い野外のスペースがあって、そこにタイプの違う露天風呂が並んでいる…

クェンティン・ブレイクを深堀する

閉館近くの図書館に駆け込んで、閉架に保存されたクェンティン・ブレイクの7冊の絵本の閲覧をカウンターにお願いする。出してもらった本にさっと目を通すと、全体的に水準は高いが、『みどりの船』のような作風の作品はない。次の3冊は書庫に返すことにした…

朋あり遠方より来る

もうすぐ退職だけれども、仕事仲間で友人といえる人はいない。もともと飲み会が嫌いだというのもあるが、仕事と趣味(プライベート)との完全な二重生活をしてきたことがおおきいだろう。仕事上の人間関係はそこだけにとどめて、それ以上踏み込むことはなか…

いよいよ開店

待ちに待った飲食店の開店日である。緊急事態宣言が解除され、今月から妻の水曜夜のヨガ教室通いが再開したので、その送り迎えをしないといけない。公民館での一時間半の教室の待ち時間の間に、ショッピングモールのカフェで本を読んで時間をつぶしたりする…

蔵書の話

今月は土日が埋まっているので、吉田さんとの例月の会を休日の日中に開くことができない。たまたま今日吉田さんに連絡をとると、午後から空いている時間があるというので、引っ越し祝いを兼ねて、新しいアパートを訪ねることにした。 吉田さんは大阪の事務所…

『暴力批判論 ベンヤミンの仕事1』 1994

岩波文庫のベンヤミン(1892-1940)の評論集の上巻。1933年の亡命までの前半生の作品からとられている。来年1月の報告までのプロジェクトの柱として、とにかく実際にテキストをできるだけ読もうとしており、まずその第一冊。 こんな機会でもなければ、つま…

介護初任者研修3、4日目のことなど

二週目の土曜日も座学で、認知症の勉強がメインだった。話しなれている講師のようで、受けを狙っているところもみえて、かえってそこがうるさく感じられる。講師の人柄の良さは伝わってくるのだが。 疲労のためなのか、午後から視界に閃輝暗点(せんきあんて…

クェンティン・ブレイクの絵本をささっと探す

絵本はまるで素人だから、手探りでいい本を求めていかないといけない。『みどりの船』がとてもよかったけれど、書店にはブレイクの絵本はこの一冊しかなかったので、図書館に探しに行く。 検索機で探すと、9冊ある。ただし大半が閉架にあるので、今日はとり…

『みどりの船』 クエンティン・ブレイク 1998

いつものブックカフェで偶然手に取った絵本。あまり良かったので、次に立ち寄ったときには買ってしまった。 美点はいくつもある。大判で水彩の絵がとてもいい。森の緑の描写。主人公である船は、見開きをたっぷり使って堂々と描かれる。一見船に見えるが、船…

働く工夫から生きた平和の思想が生まれる

小林秀雄(1902-1983)は、「平和という様な空漠たる観念」をモデルにするのでなく、「自分の精通している道」を究めることが大切だという。観念や空想を嫌う小林らしい言い方だが、とてもまともなことを言っていると思う。 1月のベンヤミン論のために、今…

こんな夢をみた(老画家の家)

仕事の仲間と、ある老画家の家をたずねる。一つ目の部屋には蔵書があって、その画家の分厚くて古い画集も置かれていた。得意の構図だったのだろうか、風に吹かれる松の木を描いた絵がカラーページで何枚もあった。なかなかいい絵だったが、どこかで見たこと…

ラーメンと皇室

地元のスーパーのフードコート(食堂スペース)の模様替えをしていたが、そこにはある人気中華料理屋とラーメン屋が入ることになった。 中華料理の方は、全国的に人気のある大衆店で、僕も若いころからよく食べている。餃子が有名なあの店で、僕の金銭感覚で…

『いのる』 文・森崎和江 絵・山下菊二 2016

著者の森崎和江さんは、ご近所に住んでいる。著作集がでている著名な文筆家だから、いつかしっかり読もうと思いつつ果たせていない。ずいぶん前になるが、一度ご自宅の前で顔を合わせたので挨拶すると、家に招き入れてもらい、しばらく話をうかがったことが…

介護初任者研修二日目

今日の講師は、前日のように初めから感じのいい人ではなかった。黒塗りの高級車をスクールに乗りつけて、ちょっといかつい感じだったのだ。デイサービスの経営者ということだったが、話しぶりも含めて、むしろ僕が事前に想定していたような講師像に近かった…

きついなかでやさしくあること

介護職員初任者研修が始まる。これから一カ月半、土日が終日つぶれるのは、正直たいへんだ。しかし、介護の仕事をやるうえでの基礎的な資格だから受けないといけないし、経験のないものとしていろいろ学んでおきたい。 ただし、実際には、それほど期待はして…

こんな夢をみた(夜の家)

廊下がおそろしく長い家だった。廊下の端の向かい合った部屋で家族が寝ていて、そのあたりだけ廊下にも照明がついているし、部屋からも明かりがもれている。 どのくらい廊下が長いのか、突き当りまでの歩数を数えてみようと思ったときだった。突き当りの暗い…

追究の鬼を育てる

僕は、仕事がら教師たちと接することが多い。その仕事ももうすぐ終わるのだが、それまでに仕事関連で購入した教育書にできるだけ目を通そうと思っている。 有田和正(1935-2014)は、地元出身で、全国区で著名になり活躍した教育者として、地域の先生たちか…

ボンちゃんのぬいぐるみ

猫の九太郎は、なぜか朝だけは人なつこい。二階の僕の部屋に来て、たっぷり身体をなぜさせてくれる。ボンちゃんの方は、二階に来てもツンデレで、ちょっと部屋をうかがうとすぐに一階におりてしまう。 すると、すぐにニャアニャア元気に鳴きながら、また階段…

犬が3匹、猫が2匹、鳥が1羽、カメが1個

この住宅団地に転居したての時のご近所さんで、ずいぶん前に関東に引っ越した家の奥さんと、妻は今でも連絡を取っているようだ。いっしょに子育てをして子ども同士を遊ばせていたから、きずなが深いのかもしれない。 その友人の家にいかにペットが多いかを、…

4年間、書き続ける

2017年の10月から、ブログを毎日書き続けている。実際には、記事が遅れることはあるのだが、日にちを空けずに4年分の投稿を続けてきた。ブログ自体はその年の1月から始めていて、何をどういうふうに書くのかで試行錯誤を続けてきたのだが、それが軌道に乗っ…

コロナワクチン2回目

ぴったり3週間後の同時刻に、新型コロナワクチン接種のために指定された会場に夫婦で乗り込む。前回と同じように、指定時刻よりずっと早く人が集まっており、15分前には係員からの説明が始ってしまう。 南国の人間の時間のルーズさ(いわゆる博多時間)はい…

長男の引っ越し

二年前の12月に、新卒で就職した会社を辞めて家に戻ってきた長男が、今日家を出て博多の賃貸マンションに越していった。いろんな感慨がある。 僕も初めの会社を3年で辞めて、実家にころがりこんだ。結局3年半ばかり実家暮らしをして家を出た。たいした親孝行…

ラスト半年

定年までの半年を切った。この機会に、なかなか区切りのつかない人生に区切りをつけてみようと思っている。 三か月前に、こちらの思いとは全く関係なく、人生に区切りというか終幕がおりかけてしまった。あらゆることが中途半端なままだったが、何の言い訳も…

竹尺の謎

僕の今使っている部屋には、両親の仏壇めいたコーナーがあって、父親の蔵書だった本や実家にあった置物などを、両親の写真とともに並べている。そこにふと目をやると、一本の長い竹尺が目に入った。最後に実家を片付けたときに、懐かしくてもって帰ったもの…