大井川通信

大井川あたりの事ども

ため池のカイツブリ(おまけ)

少し前に、NHKの人気番組で、東京井之頭公園のカイツブリの生態が紹介されていた。巣作りも、子育ても、縄張り争いも、ヒナの飛ぶ練習もアップで撮られて、遠目では気づかない表情やしぐさまでわかって面白かった。井之頭公園では、ギャラリーが集まってカメラを向け、まるでアイドル扱いである。一方、ほとんど人目を引くことはなかった我が隣人のカイツブリの記録を補足しておくことにしよう。

昨年3月末に、池のほとりの灌木のかげに、浮巣と卵を2個発見する。巣は、枯れ枝や草、ごみなどで作られており、水面に張り出した枝から垂れさがるツタの何本かにつないであって、ゴンドラのようだ。人の気配を感じると、抱卵中の親鳥はクチバシで枯葉をかけて卵を隠してから水面に飛び込む。4月の下旬には、ヒナをおんぶして泳ぐ親鳥の姿を見るようになった。この時ヒナはほとんど親の背の羽に隠れているが、別の親からエサをもらうときには首を伸ばす。4月末に大雨でため池の水位が上がって巣は水没してしまい、結局ヒナは一羽しか育たなかった。5月に入ると、ヒナは親の背から降りて泳ぐ時間が長くなり、両親はため池の対岸に新しい浮巣を作り始める。5月の中旬にはまた抱卵を始めたようだ。よく見ると巣は壊れやすいのか、一方が抱卵中も、もう一方は材料を探してきて巣のメンテナンスに余念がない。5月末には、大きくなったヒナがしっかり独りで泳いでいた。残念ながら昨年の観察記録はここまでだ。

今年は4月になってもため池に水が張られず、6月初めのメモでも、水量が少なくてカイツブリの巣が見当たらないと書いている。それでも7月中旬にはヒナが何羽か泳ぐのを確認できたから、なんとか6月の早い時期には巣を確保できたのだろう。8月中旬には親2羽、ヒナ4羽で仲良く泳ぐ姿が見られたが、それもつかの間、ため池の水が抜かれて親は姿を消してしまい、8月の下旬から9月初めにかけて、水たまりに残された4羽のヒナの運命にやきもきさせられたのは、すでに記事にしたとおりである。

さて来年にはどんなドラマが待っているだろうか。