大井川通信

大井川あたりの事ども

原っぱのヒキガエル

実家の庭を、暗くなってから歩いていると、足もとを何か大きな生き物がはねるように横切った。すぐにヒキガエルだと気づいたが、ずいぶん久しぶりの出会いだった。

実家の横に大きな原っぱがあったときには、土地の主のようなヒキガエルがいて、間違えて踏みつけそうになったり、家の中に侵入してきて家族で驚いて追い出したり、当たり前のように隣人として暮らしていた記憶がある。なんとなく、何年も同じヒキガエルが出ていたような気がするのだが、条件さえよければ10年以上生きるというから、小学校時代に原っぱにいた個体は、当時の僕と同い年くらいだったかもしれない。

その雑木林が生えた原っぱも、開発で小さくなり、先年とうとう完全に宅地になってしまった。しかし、実家の庭にいくらかのやぶが残っているので、かろうじて移り住んでいるのだろう。あの頃のヒキガエルの血脈だと思うとうれしい。今の家の近所のため池にはウシガエルがいて、夜中に大きな声で驚かされるが、そういえばヒキガエルは見たことがない。大井川周辺でも、もっと足元に気をつけて歩くことにしよう。