大井川通信

大井川あたりの事ども

ブルークロスムーブメント

知り合いの紹介で、ブルークロスムーブメントの集会に参加した。元暴走族の総長で、更生後に暴走族をボランティア団体に変えたことで有名な工藤良さんが中心になって、立ち上げた運動のようだ。司法、教育、福祉が連携し、非行少年の立ち直り支援にむけてのまちづくりがコンセプトである。元非行少年たちの座談もあったし、工藤さんも交えたシンポジウムもあった。ただやはり、初めて聞く工藤さんの話の印象が強かった。工藤さんは、小柄で童顔といってよく、とつとつと誠実に話すのだが、実践に裏付けられた言葉が重い。壇上の若い大学の先生の言葉がどうしても薄っぺらく聞こえてしまう。

工藤さんは、現在、少年専用の更生保護施設を運営し、特に難しい保護観察中の非行少年たちを全国から受け入れているそうだ。工藤さんは、少年たちを三つのタイプに分ける。一つ目は、暴力団にあこがれる反社会的タイプ。このタイプには、いろんな人に会わせて、「男を出す」のはヤクザだけではないことを示す。実際、工藤さんの生き方にあこがれて、更生して施設のスタッフになった人もいるようだ。「この人はうらぎれない」という関係を作ることがかんじんだという。二つ目は、引きこもりの反社会的タイプ。これは難しいが、一つ目のタイプが面倒見がいいので、彼らに外に引っ張り出してもらう。三つ目は、女の子で、性的に厳しい体験を強いられていることが多く、とにかく難しい。

非行少年たちは、更生したあとは地元に残って仕事をする者が多い。彼らの立ち直りを支援することが地元の経済を支える、という工藤さんの話が新鮮だった。たしかに勉強のできる優秀な子どもは、中央や外国に行って地元を顧みないことが多いかもしれない。

会場には、入所中の少年たちもいれば、安部昭恵氏が来ていたりして、雑多で風通しのよい場所だった。