大井川通信

大井川あたりの事ども

メニエール症候群

歩き出しても平衡感覚がおかしくて、まっすぐ前にすすめない。踏み下ろした床がぐわんぐわんと沈むような感じがする。久しぶりに始まったなと思う。職場のソファーに横になっても、むかむかと気持ちがわるい。頭痛ではないが、後頭部が少ししびれる感じで耳鳴りがはげしくなる。目を開ければ、きっと天井が回っているだろう。しかしそれを見るといっそう気分が悪くなりそうなので、目をつむっておく。こういうときはなかなか寝付けない。気づくと、あたりは暗くなって、時計の針も一時間はすすんだようだ。気分もいくらかよくなっていた。

十何年か以前、徹夜が続くような仕事の時に最初の症状がでた。それからしばらくは月に一回くらいは似たような発作が出ていた。やがて頻度は減ったが、一度症状がひどくて自宅で救急車を呼んだことがあった。そのあとに耳鼻咽喉科で薬を処方してもらい、それ以来、ずっと収まっていたのだ。

朝、出勤前の次男から、お父さんに眼鏡をかけた背の「短い」上司はいるか、と聞かれる。夢の中で、父がハンバーガーショップで働いていて、そういう風貌の上司に怒られていたのだそうだ。職場で体調を崩したと聞いて、そんな姿を想像したのだろう。ふだんは憎まれ口を聞いているけれども、少しは心配してくれているようで、うれしかった。