大井川通信

大井川あたりの事ども

キッザニアのマーケティングに学ぶ

キッザニアの立ち上げから関わってきたマーケッターの関口陽介さんの話を聞く機会があった。キッザニアは、主に小学生を対象にして、リアルな職業体験を提供する教育娯楽施設で、今大変な人気だそうだ。ライバルの多い子供向けの施設の中で、独自の市場を獲得するために実際に行ったという、ポジショニングマップを使ったターゲットの絞り込みが興味深い。

まず縦軸に、教育と娯楽の対立項を置く。次に横軸に、ファンタジーとリアルという対立項を置く。すると、ディズニーランドは、娯楽とファンタジーが重なる象限で、圧倒的な力を持っていることがわかる。教育とファンタジーが重なる象限にはレゴランド、娯楽とリアルが重なる象限にはハウステンボス等の競合施設がすでに存在する。しかし、教育とリアルが重なる象限にはライバルがいない。そこでキッザニアは、実際の航空会社やハンバーグショップや運送会社に「出店」してもらうことで、ママゴトではないリアルな職業体験(キャリア教育)を売り物にすることに成功したのだ。

たとえば、大井川歩きに何らかの価値があるとして、それをきわだたせるためにどんなポジショニングマップを作ることができるだろうか。対抗軸として、デジタルとアナログとか、健康と教養とか、生活と娯楽とか、すぐに思いつくけれども、うまく組み合わせることができない。本物のマーケティングであれば、徹底したメンバー間のディスカッションによって、ライバルのいないポジショニングを見つけるのだそうだ。僕は大井川の風物と対話しながら、じっくり考えることにしよう。