大井川通信

大井川あたりの事ども

霜柱とぬかるみ

東京都心で、48年ぶりに零下4度を記録したそうで、霜柱の写真が新聞に出ていた。多摩地区の府中市では、なんと零下8度だったそうだ。地球温暖化ヒートアイランド現象の影響だろうか、夏はかつてよりも熱くなり、冬は以前ほど寒くなくなった体感がある。冬に東京の実家に戻っても、霜柱をほとんど見なくなった気がするし、まして今住んでいる地域では見た記憶すらない。

そもそも霜柱とはなんだろうか。気温が零度より下がると、水分を含んだ地表の土が凍りつく。地中の水分が、凍った地面が引き起こす毛細管現象で吸い上げられて地表に達すると、そこで凍ることを繰り返して霜柱が成長する。関東ローム層の土は粒子の大きさが適当で、霜柱ができやすいという。地表と地中の温度差や、地中の水分量、地表の土の状態が関係した、かなり複雑な現象だったのだ。

子どもの頃、実家の庭は、冬場には霜柱がふつうにできていた。霜柱は、日中に溶けるとびちょびちょにぬかるんでしまい、地表の土を荒らす。そのため、父親が、余った木材で簡易な渡り廊下のようなものを作り、それを玄関まで敷いていた記憶がある。当時はなんとも思わなかったが、一種の生活の知恵で、父親も今の自分よりはしっかりDIYが出来ていたのだと感心する。

明朝まで寒波は続き、この地方でも氷点下の冷え込みだそうだ。早起きして霜柱を探しに行こうと思う。