大井川通信

大井川あたりの事ども

道端の神

大通りの歩道わきに、子どものおもちゃみたいな派手な彩りのオブジェがある。アートによる街づくりとかで設置されたものだろう。

真っ赤な金属の積み木を組み合わせたようで、足下には車輪もついているし、顔の部分には、銀色の球がはめ込んであって、目のようだ。横のプレートには、みんなの幸せを願うためにやってきた神様である、というキャプションがある。この説明込みの作品なのだろう。
確かに、古くからの集落が発展した街と、新しく開発された街とでは、路傍でさりげなく石仏や石塔などの神々が見守っているかどうか、の違いがある。石仏は、どんなに古びていても、街を眼差している善意の主体であり、手向けられた花や賽銭が、神々と人間が交わした遠い約束を思い出させてくれる。
この自己主張が強い余所者のオブジェは、果たして新時代の神になることができるのだろうか。おそらくそれは難しいけれど、少なくとも、街の人たちに、本物の神の不在を気づかせてくれることだろう。