大井川通信

大井川あたりの事ども

鳥の声とともに(つづき)

子どもたちと鳥の声で楽しんだあとに、視覚障害が専門の教育大学の先生と、そのことを立ち話する機会があった。

先生は、鳥の剥製も触らせたらよかったですね、とアドバイスしてくれた。なるほどそうかもしれない。しかし、僕が鳥に興味をもってから、実際に博物館で剥製を見たのは、ずいぶんあとだ。ふだん遠くからチラッとしか見られない姿を目の前にして、興奮した。ガラスに激突して死んでしまった鳥の身体を手のひらにのせたとき、美しく精巧な姿に驚き、厳粛な気持ちになった。鳥とのつきあいは、細く長く続くから、その途中で関係が深まる喜びも大きい。

教室の中で、あれもこれもと提供することは、あらかじめそのプロセスを奪うことになるのではないか。やんわりと、僕はそんな反論をした。