大井川通信

大井川あたりの事ども

まずは、わかりやすい詩から読んでみよう(その2)

近頃、衛星放送で、1973年のドラマ『雑居時代』を見ている。子どもの頃、夕方の再放送で夢中になってみた、いわゆる石立ドラマの一本だ。亡くなってしまった石立鉄男大原麗子も、みな若い。現在老成してしまったかに思える日本社会も、当時はまだ猥雑で、貧しくて、元気があった。

ところで、美しいヒロインの大原麗子は、父親と女姉妹の家族を取り仕切る「姉御」役なのだが、趣味で詩を書いて、同人誌に参加しているという設定だ。詩仲間の雰囲気からして、ちょっとかための現代詩だろう。そういう設定にリアリティがある時代だったのかと、感慨深い。閑話休題

昨年読んだ『高階杞一詩集』(ハルキ文庫 2015)につけた付箋を手掛かりに、おおよそ〇と△の詩を数えてみる。高階杞一(1951~)の詩はわかりやすく、小学校の教科書にもとりあげられている。虚構性というか、物語性は辻征夫より強いかもしれないが、それも読者を突き放すような感じではない。

105編収録の中で、〇は5編、△は5編という結果になった。ていねいに読み直せば、もう少し増えそうな気はするが、それでも、1割強という「打率」だ。幼い子を失くしたことを書いた詩のシリーズがあるのだが、僕には感情の表出が類型的に思えて、詩としての魅力は感じられなかった。