大井川通信

大井川あたりの事ども

光速の竜とアサギマダラ

新幹線のホームに、南からやってきたN700系が停車している。例の恐竜のような長い鼻先を突き出して。
ふと架線の上に目をやると、ヒラヒラと飛ぶ蝶が目につく。白地に黒いシマの羽に、紅のアクセントが目をひく。南下の長い長い旅の途中のアサギマダラだ。
彼女が好む花畑で待ち受ける、というより、こんな街中での偶然の出会いが、僕は気に入っている。
同じく南へと急ぐ新幹線が滑り出し、白い竜のように彼方に走り去るのを見送ると、彼女は、すでに姿を消していた。