大井川通信

大井川あたりの事ども

ジョウビタキとカトリヤンマ

夕方、夫婦で久しぶりに散歩をする。妻が、和歌神社にお礼参りにいくというので付き合ったのだ。前回、心配でお願いしていた検査結果が良かったから、スーパーで買った日本酒の小瓶をお供えするらしい。和歌神社の社殿の前でふたりそろってお参りしたが、妻が絵本に描いた陽気な神様の姿が頭にちらついて、ちょっとおかしかった。

村を歩くと、ある旧家の門前に人が立っている。以前戦前の五社参りの話をうかがった人の息子さんだろう。近年亡くなられたと聞いていたので、声をかけようとするが、すっと家の中に姿を消してしまう。

大井川の本村橋を渡って、村の賢人原田さんの古民家カフェに二人で顔を出すが、不在である。庭の木に、ジョウビタキのオスが止まって何かの実を食べているようだが、こちらが近づいても動かない。ここまで人なれしているのも珍しい。大陸からの長旅ですっかり疲れ果てているのかもしれない。(翌日、我が家の駐車場にはメスの姿があった)

そうこうしていると原田さんたちが稲刈りから車で帰ってくる。妻が原田さんと立ち話をしている間、僕は納屋と畑の間を飛び回っているトンボをずっとながめていた。かなり大きな黒っぽいトンボが数匹、狭い範囲をぐるぐると飛び回っている。もう薄暗いし、止まってもくれないので、よく観察できない。

ふと、昼間林の中で身をひそめていたカトリヤンマのことを思い出した。夕方に活発に活動する、と図鑑に書いてあったとおりの姿だ。

僕は残って原田さんたちと話し込み、すっかり暗くなってから家に戻った。