大井川通信

大井川あたりの事ども

万博記念公園を歩く

大阪の行く用事があったので、万博記念公園まで足を伸ばして、太陽の塔を見た。はじめてのことだ。内部公開の予約もしていたので、待ち時間、太陽の塔のスケッチをしたりした。塔は、外観、内部ともとてもよかった。そのことについては、別に書きたい。

塔に満足してから、公園の中を歩き、国立民族学博物館を見た後、万博の記念館だという建物の中に入ってみた。展示の説明を読むうちに、そこが万博当時のパビリオン「鉄鋼館」の建物を再利用していることがわかった。スペースシアターというホールでは、当時のままの音楽の演出を見ることができる。

それを見ながら、あらためてこの静かな公園が、あの万博の会場であったことが実感できて、予想もしていなかった感動がわきおこってきた。全国の注目を集めたパビリオンの一つに、自分が今、実際に入っているのだ。

万博当時、僕は東京の小学3年生で、実家の暮らしぶりからは、大阪に万博見物に出かけるなど想像もつかないことだった。だから外国の出来事のようで、実際に行けなくとも特別残念に思った記憶はない。しかし、半年の会期の間に様々な情報に触れてはいただろうし、万博に行った友達からの話も聞いただろう。太陽の塔が見たい、という気持ちの奥には、万博への抑圧されたあこがれが潜んでいたことに気づかされた。

それで僕は予定をキャンセルして、終日万博公園で過ごすことになった。今は、小学生時代のやり残した宿題を終えたみたいに、少し爽快な気持ちである。