大井川通信

大井川あたりの事ども

行く鳥・来る鳥

数日前、大井川の土手の近くを歩いていると、足もとから一せいに飛び立つ鳥の群れがあった。ハトかムクドリだろう。電線に止まった一羽に双眼鏡を向けると、なんとツグミだった。冬の野原では単独行動が目立つツグミも、群れで渡りに備える季節になったのだ。

これも数日前。海藻の漂着が目立つようになった砂浜を歩いていると、ヒラタブンブクの白い殻が、貝塚みたいに大量に流れついている場所がある。諸星大二郎先生に差し上げたあの奇妙なウニの殻だ。年間を通じてめったに手に入らないのだが、海流の関係で春先には拾うことができる。それにしても、これは大漁だ。形のいいのを選んで10個ほど持ち帰る。昨年の日記をみると、一日違いで「ブンブク祭り」の記載があった。自然の運行は驚くほど正確だ。

これは昨日。海岸沿いの街で車を走らせていると、大量のカラスが上空を舞っている。ミヤマガラスだ。近年はミヤマガラスの群れを見る機会も少し減ったように感じるし、群れもだいぶ小さくなった気がする。これだけ大きなものは久しぶりだ。渡りにそなえて、この古い港町に集結しているのだろうか。

今日はじめて、ツバメの姿を見た。野原には、モンシロチョウが舞っている。おやっと思って足元をよく見ると、小さな花々が春を先取りしたように咲き乱れていた。