大井川通信

大井川あたりの事ども

次男の子育て(小学校高学年)

感覚統合研究会(SI)の3年間を修了すると、小学校入学前の療育施設「のぞみ園」から引き続く6年間の手厚い人間関係を、親子ともども失うことになった。ワタルは、ずいぶんしっかり言葉をしゃべれるようにはなったが、ひきかえに時には厳しい人間関係にさらされることにもなる。

特別支援学級では、交流学級といって普通学級の授業や行事に参加する機会を多く設けてくれている。また、母親が仕事に出るようになったので、放課後には学校の敷地内にある学童保育「てんとう虫」に通うことになった。

ある時、「おれともだちできたよ」とワタルがうれしそうに話してきたことがある。しかし、すぐに「ともだちとられた」と教えられた。おそらく例外的に親しくしてくれた子どもも、彼なりの人間関係の中でワタルと仲良くしつづけることが難しかったのだろう。

小学5年生になったばかりの頃、母親が先生に頼まれて、交流学級の一時間の授業を使って、ワタルのことを説明する機会があった。教壇に立つと、子どもたちの目がいっせいにこちらを見て、一生懸命に聞いてくれたから楽しかった、と妻がいう。校長先生まで見に来たから緊張しちゃったと。

クラスの中には、ワタルが話を聞けなかったり、きまりを守れなかったりするので反感をもっている子もいたようだ。そんな子も、妻がワタルが言葉が遅かったことなどの生い立ちを説明すると、その後はワタルの味方になってくれたそうだ。

特別支援学級には、低学年から高学年の子どもたちが在籍している。それまで先輩たちがリーダーシップを発揮しているのを見ていたので、授業参観のときなど高学年になったワタルが押し黙っていて、後輩たちの方が元気がいいのを物足りなく見た記憶がある。今思えば、ワタルもずいぶんとつらい時期だったのだろう。