大井川通信

大井川あたりの事ども

ごちゃごちゃになる

新しい猫の九太郎が我が家にやってきてしばらくは、九ちゃんのことを、前の猫の名前八ちゃんと呼んでいることが多かった。そのうち、九ちゃんと呼んだり、八ちゃんと呼んだり、ごちゃごちゃになってしまう。さすがに今では、九ちゃんに統一されてきたようだが。

そういえば、子どもの名前も、次男のワタルと長男のユキトの名前を言い間違えて呼ぶことが、ある時期から多くなった。無意識に口から出る名前が、まちがっているのだからしょうがない。子どもはあきれていたが、そう開き直っていた。しかし長男が家を出て何年もたつうちに、さすがにこの言い間違いはしなくなった。

猫を飼いだすと、猫の可愛さが骨身にしみる。夫婦で、まるで子どもといっしょだと世話に精を出す。そのせいか、こんどは九ちゃんのことを、ワタル、ワタルと思わず呼んでしまうことが多くなってきた。息子は怪訝な顔をするが、自分の子どもが小さな幼児だったころのイメージを投影しているのだろうと、一人納得する。

ところが、今朝、息子が出かけるときに、「九ちゃん、気をつけていってらっしゃい」ととっさに口に出てしまったのは、我ながら驚いた。

猫同士、人間同士は姿形がよく似ている。人間の赤ちゃんと子猫とは、可愛さで共通するところがある。しかし成人男性と、子猫とはなんの共通点もない。第一、座敷猫の九太郎は外出なんかしない。

確実に世界はごちゃごちゃになっていく。崩壊へとすすんでいく。