大井川通信

大井川あたりの事ども

たかが棒、されど棒

地元のある集会に参加した。被差別当事者の運動体の研修会である。めったにない機会だったので、面白く楽しめた。

こうした運動団体、政治団体、宗教団体の例にもれず、参加者は高齢化している。主力は70代、60代で、ごく少数の「若手」といっても40代以上だろう。日本の高度成長の過程で顕在化した切実な格差や問題点に向き合ったのが、これらの団体だったのだ。ある程度の「豊かさ」を実現した社会で、次につづく世代を引きつけるのは難しい。

また運動のスタイルや発想が、ある時期大きく変わってしまって、それに十分対応できなかったのも大きい。一つには、マルクス主義の権威の失墜の前後。もう一つは、今も続く情報化の大波の前後。

講演の後に、その場で懇親会があったのだが、こうした場でコミュニケーション力を発揮するのは女性たちである。初対面の僕にも、生年月日の占いをしてくれたり、お互いに家庭の内訳話をしたりして盛り上がる。

羽振りのよさそうな人も、子育てに苦労して昼夜働いている人もいる。ごく平凡に暮らしている人たちの、当たり前の暮らしや当たり前の願いを傷つけるようなことは、あってはならないとあらためて思う。

4人の子どもを育てた70代の奥さんは、若いころスポーツマンの旦那の浮気が絶えなかったという。旦那の浮気で離婚した若い奥さんと、目の前でちょっとした論争になる。年長のご婦人は、男なんてよそで遊びたい生き物なんだからと割り切って、夫を許すようにしたらしい。たかが棒、されど棒、なんだと。なんのことはない、下ネタである。