大井川通信

大井川あたりの事ども

五十音図の起源

『日本語をつかまえろ!』(飯間浩明  2019)から。

「いろはにほへと」の歌は古くからあるだろうと思っていたが、五十音図がそれと同じくらいの千年の歴史をもつものだとは知らなかった。せいぜい、明治以降に近代教育のために整備されたものだと漠然とイメージしていたので。

しかし、昔の学僧たちが、中国語の経典を取り組む過程で、日本語の発音を論理的に整理する必要を感じただろうことは、想像がつく。明治の近代化で欧米と向き合ったのと同様の経験を、かつて大陸との間に体験していたのだ。

五十音図が今の語順に整理されたのも、室町時代の頃というから古い。古代インドの言語であるサンスクリットの研究から、サンスクリットの表の順番に並び替えたのだという。だから「あいうえお」「あかさたな」という並びは、サンスクリットに忠実にできているそうだ。なんと国際的な、とびっくりする。

僕が最初にひらがなを覚えるために五十音図と取り組んだのは、幼稚園や小学校一年生の時だから、その記憶はほとんどない。むしろ中学生の時、ばびぶべぼ言葉(ばび語)を身につけるために、五十音図に「ばびぶべぼ」の音を加えて、練習していた記憶が鮮明だ。

あばいびうぶえべおぼ、かばきびくぶけべこぼ・・・

この練習の成果は、今でもここぞという時の特技として活かされている。