大井川通信

大井川あたりの事ども

オンライン読書会に参加してみた

ミーティング用アプリZoomを使った読書会に参加。最初は、音声を出すのにとまどったり、画面の使い方が良くわからかったりしてあせったが、慣れてしまうと難しいものではなさそうだった。

カメラで画像がとられているとはいえ、当然だが死角はいっぱいあって、そこはまったくプライベートな空間だ。リアルでの読書会で、全身が人前にさらされている状態とはまるで違う。家族が夕食のカツ丼を差し入れてくれたので、画面の外でほおばりながら参加していたが、見とがめられることもなかった。

提出した各人のレポートを画面に映しながら議論をすることができて、いちいち人数分プリントアウトする必要もなくて便利。なにより、会場までの往復の手間がない手軽さは驚異だ。

そこで交わされた議論の中身も、情報量も、リアルの読書会とそん色ない。しかし、それは大半のメンバーと何年も議論してきたという背景があるからだろう。人となりを良く知っているという前提があるからこそ成り立っている面も否めない。

僕でもよくわかる感覚でいうと、親しい友人と電話をしている感じ。しかし一方、電話だけで人と親しくなるのが難しいのと同じ課題は残るだろう。

対面の関係では、自分の意見を言うことにはかなりのエネルギーがいるし、相手の言葉を受け取ることも大変だ。とくに異論がある場合には、文字通り「耳が痛い」。いわば全身による全人格的な作業なのだ。

その同じことが、プライベートの空間にひたされているパソコンの前では、かなりハードルが低くできる。自分の言葉だけに集中できるし、参加者の意見も取捨選択が容易だ。

このあらゆる点でのストレスの低さになじんでしまったら、リアルでの会の意味もだいぶ変わってくるだろう。リアルな関係が長期的に衰退していくかもしれないし、そこでしか求められないものが明確になって、かえってその魅力が強く求めれれるようになるのかもしれない。

ところで、猫の九太郎も、二度ほど画面上で参加をした。なされるがままに、カメラに顔を向けている彼に、参加者からおとなしいという驚きの声が。やっぱり九太郎はおとなしいのかと再認識する。