以前から、少しずつ子どもの時の蔵書をネットで見つけては買い集めている。整理好きの両親の影響があって、それらはすべて処分してしまっていたからだ。
小学館の学習図鑑はなつかしい。僕は当時から、本を読むことより、本をながめることが好きだったのだと思う。子どもの時の本と言えば、まっさきに赤い背表紙のこのシリーズが思い浮ぶのだが、今回のコレクションでは後回しにしていたのは、我ながら不思議だ。
その無意識の理由が、本の現物が届いてわかった。かなりボロボロの状態なのを覚悟していたのだが、箱には多少の痛みがあるものの、中身はびっくりするほどきれいだったからだ。『昆虫の図鑑』も『航空機の図鑑』も。
図鑑なら手あかまみれでボロボロだろうという先入観があり、いくら懐かしいといっても、本については潔癖症なところがある僕は、手に入れることに二の足を踏んでいたのだ。実際にかつての僕の手持ちの図鑑や、図書館にある図鑑は使い古されてくたびれていた。
おそらく親が子どもの勉強になるからと買い与えたものの、子どもの関心を引かずに本棚で眠ったままの図鑑も多くあったのだろう。もともと製本は頑丈だし、紙質もいい。オークションでいくらか注意して選べば、新品同様の本が手に入るのだ。
『機械の図鑑』は、他の図鑑よりもいっそう当時の時代の色をとどめている。アナログの時計や自転車の構造の図解から始まって、力学とモノづくりの基本が示されている。一方、現代では主力の情報関連機器の解説は、電話やテレビなどがごくあっさり触れてあるにすぎない。
図解や挿絵の一つ一つが、懐かしい級友のようで、見ていてあきない。