図書館司書の勉強をした関連で手にした本。いくつかの実際の図書館のレポートと、図書館をめぐる動向とが、コンパクトにまとめられている良書だ。
今、図書館は大きく変わりつつある。身近な図書館を利用しているだけでは、そこが先進的な取組みをしている図書館でもないかぎり、その変化にはなかなか気づけない。
市民への貸出サービスを第一に考える取組から、課題解決支援に重点を移したり、地域コミュニティーの核となることを目指したりする方向へ。そこにICT化への対応が重なってくる。
この本で紹介されている、東京都武蔵野市の武蔵野プレイスと佐賀県の武雄市図書館とを昨年訪ねてみた。どちらも居心地がとてもいい場所になっていて、確かにこんな図書館が近所にあったらいいだろうと思う。武蔵野プレイスは40年以上前に僕が通った高校の近くにある。まさに隔世の感だ。
しかし、どんないい図書館でも身近になければ意味がないし、そもそも図書館がなければ情報にアクセスしたり本を読んだりすることができないわけでもない。今回の勉強で図書館界なんて言葉を初めて知ったが、専門家の垣根を感じさせて、ちょっとひいてしまった。
本も情報も、図書館や書店や学校から、そとに流れ出し、自由に離合集散するような流れにある。ネットの読書会などに参加してみて、特にそれを感じる。最新型を誇る図書館ですら過渡期の産物であることを免れないだろう。