大井川通信

大井川あたりの事ども

河童忌の一日

 昨年は、いろいろな作家の忌日を意識して作品を読むきっかけにしたが、今年はすっかり忘れていた。子どもの頃から頭にあった河童忌になって、ようやくそれを思い出した。

月曜の朝から左ひざが痛くなり、翌日には足をひきずるようになって、数日間安静にしていた。まだ曲げ伸ばしは痛いが、今日くらいからようやく歩けるようになる。数年前、続けざまに同じ左ひざや右の足首が痛くなって、整形外科に行ったことがある。歩きすぎですよ、と言われてシップをもらうとじきに良くなった。あの外科の先生も昨年亡くなっている。

朝から次男を駅まで送って、コメダ珈琲でモーニング。芥川ならよかったが、手持ちの西田幾多郎のエッセイを読む。次男の仕事は祝日も休みにならない。友人関係がないのを心配しているが、先週くらいからジムの会員になって、休日の居場所を少しづつ増やしているのは感心する。

求職活動が長引いた長男も、内定をもらい来月から仕事に就くことになった。前職の経歴を活かせる仕事で、コロナ禍の転職なら上出来だろう。半年間、家族に不機嫌な顔を見せずに家事や家族の相談相手をしてくれたのは頭が下がる。僕も同じ25歳の夏に、新しい塾の仕事に転職している。あの頃は、今の長男よりずっと未熟だった。

次男が半日の仕事から戻ると、妻たちはドライブと食事に出かけた。僕は家に残って勉強するつもりだったが、昨日のオンライン配信ライブを見返してしまう。いつものように、Band-Maid。来年2月の武道館のチケットも当選してしまった。苦手の音楽にこんなふうに向き合うようになるとは思っていなかった。彼女たちに感謝。

夜は、いつものジョイフルで吉田さんとの月例の勉強会。先日ジョイフルの大量閉店計画のニュースが出ていたが、こんなふうに書斎や会議室代わりに当たり前に使っていた場所が無くなったら、本当に残念だ。すべて無常だと、しみじみ思う。

ブログ記事を編集して、江戸川乱歩の目羅博士シリーズのレジュメをもっていく。吉田さんは近所で知り合った小学生が、三角形の内角の和が180度であることを心底不思議がっていたというエピソードを教えてくれる。吉田さんも学習百科事典でそれを知った当時、たくさんの三角形を描いて角度を測り何度もそれを確かめたそうだ。実に彼らしい実話。

話題は自然と入院中の安部さんのことに。少し頭痛もするので早めに切り上げるつもりだったが、結局いつもどおり5時間話していた。

家に戻ってから、申し訳のように芥川全集を抜き出し、短編を読む。『鼠小僧治郎吉』。府中、日野、八王子となじみのある宿場町が舞台の、洒落たお話。